検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:52,742 hit

ページ17

「ほらこれ、駅前のプリン」
『駅前の!?わぁ…!やったー!』
「子供か(笑)」

病院に行く前に駅前で買ってきたプリンを渡すと、子供みたいに目を輝かせているA。

『久しぶりだぁ』
「…そっか」
『えいちゃんがこうして持ってきてくれないと食べれないから、ありがとう』
「どういたしまして」

うん、と返事を返すと、早速箱を開けてプリンを二つ取り出し、ひとつ俺の前に差し出した。

「いいよ、Aが食べなよ」
『だめ。一緒に食べる』
「ええ…わかったよ」

Aは本当に表情が豊かだと思う。嬉しい時とか楽しい時とかも笑うし、怒ることもある。

ただ、泣いているところは見たことがなかった。それは付き合い始めてから一度も。

『おいひい』
「よかった」

ひとくちプリンを口に運ぶと、ほんのり苦いカラメルとプリンが口いっぱいに広がった。甘すぎなくて、すごく美味しい。

『えいちゃん天才かようま…』
「俺作ったんじゃねえよ(笑)」
『知ってる(笑)』
「それも知ってた」
『んふふっ』

ふたりで一つずつ食べ、残りはご飯のあと食べるというから冷蔵庫に閉まった。冷蔵庫閉めたあとも、ニコニコっていうかニヤニヤしていた。

「ぶす」
『ひょれかいにもかのじょのまえでいう?(それ仮にも彼女の前で言う?)』

その言葉が可笑しくてさらに笑ったら、拗ねられた。



「ねえA、病気治ったらさ、ふたりで旅行行こっか」
『旅行?』
「うん。行きたいところ行こう。海外でもどこでも、行けるところ」
『宇宙(笑)』
「ばか(笑)」

Aは目を細めて頷いた。最近また痩せたんじゃないかって思った。すっかり細くなった体を抱き締めると、負けじと思いっきり抱き締めてくれた。

「治るよ」
『うん』
「また動画出てね」
『もちろん』

外を見れば、すっかり夕方だった。そろそろ帰らないと。

「今日お母さんくるの?」
『昨日来てくれたから今日は来ないかも』
「寂しい?」

ちょっと、と苦笑いする。
Aの両親はAが小さい頃に離婚して、Aはお母さんに育てられた。しっかり働いて、Aを支えてくれている。

『お母さんのためにも、働けるようにならないと』
「俺も支えるよ」
『うん!』

椅子から立ち上がり、病室の扉に手を掛けてAの方を振り向くと、ひらひら手を振っていた。それに手を振り返し、俺は病室をあとにした。

3→←エイジ【ごま様リクエスト】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
102人がお気に入り
設定タグ:YouTuber , 短編集 , 悲恋
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu  
作成日時:2017年11月17日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。