海水に溺れて【YouTuber中短編集】

エイジ【ごま様リクエスト】 ページ16

白を基調とされた建物に入っていく。見馴れた風景が目いっぱいに広がった。

「すみません、(人1)Aに会いに来たんですけど」
「はい。かしこまりました。103号室です」

言われた部屋へ足を運ぶ。通りすがりには子供や老人、中学生や高校生など、いろいろだった。

「A、いる？入っていい？」
『いいよぉ〜痛い痛い！やめてよ〜』

今どうなっているのかという想像をしながら扉を開けた。

「なにしてんの(笑)」
『海賊ごっこだって(笑)』

一緒にいる子供にまみれているのはA＿＿＿＿もとい、俺の彼女。そしてここは病院。

「お姉ちゃんねえ、今日はすごく元気なんだって！」
「だから遊んでもらってるの〜」
『いてててっ、だからって激しい遊びすぎない？(笑)』

俺達が出会ったのは高校の時。Aは、小さい頃から病弱だったと言っていた。それを聞いたのは付き合い始めてからではなく、俺の目の前で倒れた時だった。困り顔で教えてくれたのを今でも覚えている。今はガンで入院していて、成人した今も必ずお見舞いには行く。

「流星(りゅうせい)くーん、真宙(まひろ)くーん！検診だよー」
『あら、検診だって。いってらっしゃい』
「ちぇー」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんばいばい！」

出ていく二人に手を振り、扉が閉まるまで見送った。

『ふう…ごめんねえいちゃん(笑)』
「来たばっかりだから大丈夫だよ。元気そうでなにより」
『んふふ』

嬉しそうに笑う顔を見て、自分の顔も緩んでいった。

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