エイジ ページ1
俺には幼馴染がいる。
その幼馴染に俺は片想いしている。
でもその幼馴染には彼氏がいる。
しかもその彼氏は俺の親友。
こんな少女漫画みたいな関係、誰が認めるか。俺は絶対に認めない。
『エイジなに百面相してんの』
「何でもない」
『そう』
学食を持って俺の隣に座るこいつが、幼馴染であり片想いの相手だ。
「弁当は?」
『寝坊。たまには学食もいいかなって』
「そら一緒じゃないの?」
『委員会あるから、そこで食べるらしいよ。たまたまエイジを見かけたから移動してきたの』
そう言って髪を耳にかけた。俺はちらりと学食に目をやる。
「今日の日替わりはうどんか」
『美味しいよ』
ほれ、とうどんを少し差し出してきた。俺はうどんを口に入れた。口いっぱいに醤油の味。ちょっとしょっぱかった。
『ちょっとしょっぱいよね』
「ん、ちょっとね」
Aはそらと付き合っている。さっき普通に間接キスっぽいことしてたけど、これは昔から変わらない。だからAも大したこと考えてないんだろう。
きっと"幼馴染"として。
キメ細やかで白い肌、ショートカットの黒髪。そらの好きなタイプではロングなはずなのに、そらはAを好きになった。Aもそらが好きだ。
『…エイジ、あんま見ないでよ。穴あく』
「いやぁ、かわいいなって」
『え?気持ち悪、どうしたの』
「失礼だなおい」
ほらこうやって。
また受け流されるんだ。
「あ!いたいた、A!」
『そら、なんで?』
「えいちゃんといたんだね。あのね、委員長が休みで今日委員会無かったの。だから一緒に食べれる!」
嬉しそうに、楽しそうに話すそらとAは本当に幸せそうで。
「だからえいちゃんも___」
「いや、いいよ。お邪魔だろうし(笑)」
「えーいいのにぃ」
口をとんがらせて拗ねるそらを一目見たあと、俺はふたりに背を向けた。
『ばいばいエイジ』
「ばいばーい。行こっか」
『うん』
背を向けたまま手を振って、ポケットに手を突っ込んだ。
「うー、寒っ…」
廊下に出ると、顔に突き刺さるような冷たい風が窓から吹いている。フードを被れば少しマシになるけど。
俺の方がずっとずっと長く
俺の方がずっとずっと好きだった。
なのに、なのに、
「なんで、そらなんだよ、」
廊下には誰もいない。
誰もいない廊下に、そんな言葉が虚しく響いた。
ねえA、
好きだよ。
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あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2017年11月17日 14時