Believe〜僕だけを信じて〜 6

287 ページ37

.



医者「まず……記憶喪失にも、色々とあるんです。


今までのことをすべて忘れてしまう人、一部だけ忘れてしまう人…


恐らく、アヤさんは後者です。



そして、そちらの4人を忘れて、あとの皆さんを覚えていた…。」



全員「っ…」



医者「……つかぬことをお聞きしますが、



あなた方4人は、アヤさんに忘れられている、という理由に心当たりは、ありますか……？」



4人「っ、」



ｻﾗ「あります……」





多分、アヤの中で辛い記憶はなくなってる。
楽しかった記憶だけを残したんだ。




医者「そう、ですか…

人の記憶をなくすと言うのは、理由が色々あって、人それぞれです。



すごく大切にしている人、大事に思っている人を忘れてしまう人もいれば、








嫌いな人、苦手な人、あるいは




恐怖心を持ってしまう人を忘れるケースもあります。」


4人「っっ……」




アヤは、間違いなく、後者だ。





医者「いずれにしても、記憶を失った人の多くは、思い出すのに時間がかかります。

勿論個人差はありますが、


一生思い出せない人もいます。」


4人「っ……」





医者「それに……思い出そうとすればするほどに、


激しい頭痛を訴える人が非常に多いです。」


4人「っ…」



ﾖﾅ「それでもっ……ちゃんと、謝りたいっ……」



そう呟いたヨナさんに、僕は思わず反応した。








「何、言ってるの……？」




全員「……。」






「やめてよ。」

4人「っっ、」



「アヤは、辛かったから、思い出したくなかったから、忘れてるんだよ…？


これ以上苦しめないでって、言ったじゃん。



思い出させるなんて、



許さない。」




4人「っっ…」




「もう、関わるなって、言いましたよね？



今日、連絡したのは一応、あなた方は"元"、メンバーだから。

だから、報告しただけ。






でも、アヤがあなた達を拒否してるなら、







もう、用はない。


帰って。」



4人「っ……」





思い出す必要なんて、ない。

辛かった記憶は消してしまえばいい。




それで、アヤが笑顔になれるなら。

アヤが元気になるなら。






「僕は、アヤのためなら、なんだってするよ。」



.

288→←286

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す