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目を覚ました少女は錯乱状態にあった。
己の名前以外全てを失った者は、自分に大切なものがあったことは分かるがそれが何であったのかを完全に喪失してしまい、訳も分からず頭を押さえ泣きわめいていた。
私はその身体を抱きしめ、大丈夫だよAと何度も唱える。
私が君の父だ。ここが君の家だ。この子達が君の兄弟だ。
全てを失った彼女の唯一になれるように、何度も囁く。
まだ幼く、無垢な少女。驚くほど簡単にその洗脳は成功した。
たった数日で他の兄弟たちと共に自分をパパと呼び慕うようになった。
彼女の力を利用して、念を教え、様々な仕事を与えたが、それがどんな残酷で過酷な内容でも、２つ返事で了承するようになった。
心が満たされるのと同時に、耐え難い不快感が沸きあがった。
私は彼女の唯一になりたかった。
だが、それはこのような甘ったるいものではない。あの日見たような、鋭く輝かしい光を向けられたいのだ。
それに相応しいのは愛などではない。
殺意だ。
その日の晩、Aに一時的に記憶を戻せば激しい怒りと、錯乱、ヒステリー、全てを大洪水のように起こし、こちらを殺そうと飛びかかってきた。
それは言葉では表すことのできない至福の光景だった。
「殺す殺す絶対に殺してやる！」
目を見開き、涙を流しながらもこちらに飛びかかろうとする彼女は自分の身体が思うように動かないことに動揺する。
"偉大なる父に誓う"の能力で、彼女の記憶も四肢の自由も彼女の持つ全ては既に私のものになっていた。
その気になれば感情だって奪える。でもそんなことをしてもあの鋭さを失わせるだけだ。
あの瞳の輝きがみたい、あの輝きが何度でも甦る永久のものであると私は確信したいのだ。
「無理だよ、かつて君の所持していた全ては私の所有物なんだ。私の許可がなかったら君は指の一本だって自由に動かせない」
「絶対に許さない！お前を！絶対に！」
地面に這いつくばり、ギラギラと瞳を燃やす彼女に心が満たされるのを感じた。
四肢の動かぬ彼女を身体を組敷けばとたんにその顔が恐怖に歪んだ。
思わず口角があがる。
怯える表情も、すぐに虚勢を貼る気位も、やはり美しい。
「可愛いA、君は今が終わればまた忘れるんだよ。君の家族のことも、私に対するその恨みも」
「やだ……たすけて、お父さん、お母さん」
叶うならできるだけ彼女が壊れないように。
できるだけその激情を、鋭さを、高潔さを私に長く楽しませてくれるように。
私は祈った。
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カンナ(プロフ) - お返事ありがとうございます！嬉しいです、、応援してます！これからも楽しみに読んでいきます！ (3月28日 3時) (
レス) id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
あやこ(プロフ) - カンナさん» カンナさん、コメントありがとうございます。 お待たせして申し訳ありません。part2やっと終わりました。part3は少しでも更新頻度を上げれるよう頑張りますので、是非最後までよろしくお願いします。 (3月26日 0時) (レス) id: 7bf5456e4c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 素晴らしすぎる作品に出会えました、、、この出会いに感謝しかないです．お忙しいとは思いますが、無理ない程度に更新していただけると全わたしが歓喜します。応援してます！ (3月18日 10時) (レス) @page46 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
あやこ(プロフ) - 天音さん» 天音さん、コメントありがとうございます。お待たせして申し訳ありません、ストーリーはまだまだ続きますので、是非最後までよろしくお願いします。 (3月9日 21時) (レス) @page46 id: 172db88909 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - とても素晴らしい作品に出会えたことに感動してコメントを残したくなりました。読んでいて時間を忘れるほどに面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (8月28日 20時) (レス) id: 2158ec844c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやこ | 作成日時：2018年11月13日 23時
