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幻覚だ。
すぐにそう理解した。

目の前には先程の白銀の髪を持つ少女が立っていた。

だが、これはオレが会ったあの少女本人ではない。

全身が薄く光を纏ったそれは、微笑を浮かべてこちらを見つめている。
光を纏っていること意外、何も不思議な点はないはずなのに、その雰囲気は異様
で、それが人間ではないことがハッキリと感じ取れた。

あの少年が言っていた"神様"だ。
そして多分、あのナイフの正体だ。

「名を名乗りなさい」
「......知ってるだろ、お前はずっと側で聞いてたんだろ?」
「あら、あなた子供なのにずいぶんと賢いのね」

子供じゃねぇよ。
そう思ったが言葉は何とか喉元で止めることができた。
相手は得体の知れない、こちらとは規格が違う存在だ。
おそらくコイツにこっちの理屈なんて分かりっこないのだ。

「取り返したいの、手伝いなさいジン」
「断るね」

なんで?
とでも言いたげに少女の形をしたそれは首を傾げた。

「頷くわけないだろう得体が知れなさすぎる」
「得体……?
そうね……私は人に"神"と呼ばれる存在よ」
「呼ばれているだけで、あんたが"神"である証明にはならないだろう」
「……ジンは難しいのね」

話してみると、意外にもそれからは"悪意"なんて物は感じられなかった。
ただ、人の頭を可笑しくさせるオーラは一定量放たれ続けている。おそらく無自覚で。

「あの少年は?」
「少年?カイのこと?」
「死んだだろ、どろどろに溶けて。あれはお前の能力か?」

彼の名前は知らなかったが、おそらく彼の名前だと思い頷いた。

「あの子は私になったの」

ほら。
そう言うと目の前の少女はどろりと溶けてこちらが瞬きを終えるころには先ほどの少年の姿になっていた。

不快感と恐怖が胸を埋める。
姿はあの少年だが纏う雰囲気は先程と同じく気味の悪いもので、やはり間違いなく中身はあのナイフだ。

「......お前は何がしたいんだ」

吐き気を押さえてそう言葉を紡いだ。

「あの子が......Aが私の半分を持っていってしまったの、だから取り戻したいの」
「……その一文だけ繰り返されたって意味が理解できない」
「分かった、見せてあげる」

とたんに目の前の少年は、右手をこちらに伸ばした、その手には煌々と六芒星が輝いていた。

その星に目を奪われたことが悪かった。
白い光に包まれ気が付けば俺は見知らぬ路地裏で座り込んでいた。

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設定タグ:HUNTER×HUNTER , クロロ=ルシルフル , シャルナーク   
作品ジャンル:アニメ
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カンナ(プロフ) - お返事ありがとうございます!嬉しいです、、応援してます!これからも楽しみに読んでいきます! (3月28日 3時) (レス) id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
あやこ(プロフ) - カンナさん» カンナさん、コメントありがとうございます。 お待たせして申し訳ありません。part2やっと終わりました。part3は少しでも更新頻度を上げれるよう頑張りますので、是非最後までよろしくお願いします。 (3月26日 0時) (レス) id: 7bf5456e4c (このIDを非表示/違反報告)
カンナ(プロフ) - 素晴らしすぎる作品に出会えました、、、この出会いに感謝しかないです.お忙しいとは思いますが、無理ない程度に更新していただけると全わたしが歓喜します。応援してます! (3月18日 10時) (レス) @page46 id: fc7530e511 (このIDを非表示/違反報告)
あやこ(プロフ) - 天音さん» 天音さん、コメントありがとうございます。お待たせして申し訳ありません、ストーリーはまだまだ続きますので、是非最後までよろしくお願いします。 (3月9日 21時) (レス) @page46 id: 172db88909 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - とても素晴らしい作品に出会えたことに感動してコメントを残したくなりました。読んでいて時間を忘れるほどに面白かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (8月28日 20時) (レス) id: 2158ec844c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやこ | 作成日時:2018年11月13日 23時

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