オレを好きになってよ。【手嶋純太】

Who is chosen?2. ページ2

「えーと、あたしの名前、名前‥」


東雲A、しのの、め、しの‥し‥



東雲(しののめ)A。

それがあたしの名前。




よく強そうって言われる。


なんでどこが。




かわいい名前じゃんね。

みんなわかってないなあ。



なぁんて。








「Aー！」





「あ、ユリ。」





声のした方に顔だけ向けると、




「もー、探したよ〜〜!

あ、同じクラスだったよ！」




幼馴染のユリが走って来た。





「あ、そうなの?ユリの名前あったけ？」



「あるよっ!自分のしかみてないんだからもー」



「スマネ、ユリチャン」




ユリ。小さい頃からの幼馴染。


素直で明るくってかわいくって。



THE女の子。って感じの子。


でもぶりぶりしてなくて好き。



あたしもユリみたいな女の子になりたい。


ずっと憧れてた。






「5組だってさっ、いこ」



「うんっ」



「それにしてもこうやってAと同じ

学校なの、小学校以来だねっあたし嬉しい！」



「ユリ、女子中だったもんね。

でもよかったの?そのままエレベーターで

女子校上がらなくて」




「女子ばっかりは飽きた!親も厳しいし

恋もしたいし!

ってか、髪伸びたねA。かわい」





「ユリに言われると照れる」




「口が悪いくせに純粋なのは昔のまんまだね」




「うるさーいー。ユリにゃ敵わないよ」




「ほんとなのになあ。

昔からかわいいよAは」









ユリは昔からあたしをかわいいって言ってくれる。






あたしは小さい頃から口が悪かった。


よく男の子と喧嘩もしてた。


男の子みたいなのに、

それでもいつもそばに居てくれたし、



『Aが1番かわいいよ』


っていつも言ってくれる。





ユリがかわいいのなんてずっと昔から知ってる。






"お前なんかよりユリちゃんの方がかわいい"



って何回も聞いて来た。


聞き慣れたんだけどそのセリフ？


ってくらい。





悔しいけどでもユリのこと好きだなあ、あたし。



嫌いになんてなれないよ。



ユリの横顔ってほんと綺麗。

あたしとエライ違いだな。








「‥ん？なーに？」



「ううん。なんでもない。

いくぞっ、ユリ！」




ユリの手を取って走り出した。

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