溺愛ロジック 2

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「ピアノ、ですか？」

先生、びっくりしてる。

「はい」

にっこり笑うお母さん。やめて〜(泣)

「お母さん、もう帰ろ…」

「ピアノは弾けませんが、演奏を聴くのは好きですよ」

穏やかな声で答える先生。

「そうなんですね！ちなみに好きな作曲家とかっています？」

「お母さん、先生忙しいから…」

考え込む先生。

「…あまり詳しくないんですが、ショパンやリストが好きです」

「良かったわ。うちの子、今度発表会でショパン弾くんですよ！良かったら観に来てくださると、Aも私も嬉しいんですけど」

嬉しいのはお母さんだけでしょ。

先生固まってるよ(泣)

「先生、聞き流して下さい…」

恥ずかしい。

「そういえば発表会があるって広瀬言ってたな」

私のほうを見て微笑む。

「日にちにもよりますが、僕でよければぜひ観に行かせて下さい」

「ほんとですか？！まぁ、良かったわね、A♪」

良くないよ、お母さん…




先生にちゃっかり発表会の日時を知らせて、ご機嫌なお母さん。

「んふふ♪先生来てくださるって」

「来れたらって言ってたよ」

「あれだけお願いしたんだから来てくれるわよ！あ〜、何着ようかな〜」

…もういいや。

「それよりお母さん、お仕事早退して来てくれてありがとう」

「だって藤ヶ谷先生から電話があったんだもん、行くでしょ？」

そうですか。娘が心配で早退したんじゃなくて、先生に呼ばれたから来たんですか。



夜。

お部屋にいると、携帯が鳴って見ると藤ヶ谷先生。

「も、もしもし」

『A、今話せる？』

「はい…」

『発表会、行けるよ。後で予定みたらその日空いてたから』

「すみません、母が…」

『いいよ。俺、誘ってもらえて嬉しかった』

ほんとかなぁ。でも嬉しいって言ってもらえると私も嬉しい。

『楽しみだな。』

甘い声。

「先生、ショパンとリストが好きってほんとですか？」

『好きっていうか、それくらいしか知らないんだよ』

「生演奏を聞いたことがあるんですか？」

『…あるよ』

あれ、声が暗くなった。

「先生？」

『ん？』

気のせいかな？

「いえ…」

『頑張って練習しろよ、大きな花束持ってくから』

「恥ずかしいからやめて下さい」

こうやって普通に会話してると、ほんとに恋人同士みたい。



電話を切るとLINEが来てた。

見ると玉森くん。

ヤバい、忘れてた。

怒ってるかな。

恐る恐る電話をかけた。

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