溺愛ロジック 2

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「にーちゃーん、帰ってんの〜？」

えっ。誰？

ガックリしてる玉森くん。

「か、家族の人？」

「…弟」

弟がいるんだ。

ドアが開く。

「にーちゃんまた女の子連れ込んでんの？かーちゃんに言うよ？」

これまた可愛いお顔の弟くん。

「はじめまして。広瀬Aです。お邪魔してます」

あいさつしなきゃだよね。

「にーちゃん、今度の彼女は感じいいねっ。俺好きかも。顔も可愛いし。」

彼女じゃないんだけどな。

「…送るわ」

「えっ！いいよ！」

もう離れたい。

「ダメ。はい、行こ」

玉森くんは私のカバンを持つとお部屋の外へ行ってしまったから慌てて追いかけた。

「あ、あの、お邪魔しました！」

「うんっ！また来てね、お姉ちゃん」

か、可愛い…！



お家を出て歩く私達。

無言の玉森くん。

またなんか怒ってるのかな、やだな。

怒りたいのは私なんですけど。

でも険悪な雰囲気に耐えられなくて声をかけた。

「…玉森くん、ごめんね」

振り返るけどやっぱり機嫌悪そうな顔の玉森くん。

「俺多分、今夜は悶々しすぎて眠れない」

そんなに怒ってるの？！

「こんなに焦らされんの初めてだわ」

「焦らしてないよ？」

そう言ってもため息をつかれてしまった。

なんだか私のせいみたい。

どうしたらいいかわかんなくてじっと見つめるとフッて笑う玉森くん。

「そんなに俺をムチューにさせたいのか」

また変なことを言い出す玉森くん。不思議な玉森くんに私のほうが夢中になっちゃいそう。違う意味で。

「つかさぁ、今度はAんち行きたい」

「えっ、やだよ」

「ダメ。行く。決定。」

…まあいっか。入れなければいいんだし。

早く帰りたいし適当に流しておこう。



お家に帰ってピアノの練習。

ふと、藤ヶ谷先生の言葉が脳内でリフレイン。

ー媚びてるみたいー

あんな言い方、酷いよね。

もう絶対学校でメイクしない。

でも、そしたらゆりちゃんが悲しいかな。

考えごとしながら弾いてたからつっかえてしまった。

「はぁ。」

なんか、クラスの子とも上手くいかないし、前の学校に戻りたい。

なんて、ダメダメ。

頑張るぞ、頑張れ私。

…北山先生、飴食べてくれたかな。

スマホでこっそり一緒に撮った写真を見る。

「先生に頑張れ〜って言って欲しいな…」

無理だけど。嫌われてるし。

よしっ、準備してピアノ行こう。

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