溺愛ロジック F side

改心 ページ32

「ね〜ね〜先生」

二階堂だ。

また上履きをぺたぺたさせて歩いている。

「ど〜やったら先生みたいにハーレム作れんの？」

「バカ、何言ってんだ」

「ハーレムは男の夢でしょ！」

「ハーレムなんかないよ、俺も」

「えぇ〜？女子にモテモテじゃん！秘訣教えてよ！俺、顔は割とよくない？性格が邪魔してんだよなぁ〜」

「はは、二階堂の性格、俺は好きだよ」

「…男から言われてもさぁ」

「だな(笑)」

まとわりついてくる二階堂。
可愛いなぁと思った。

Aが俺を受け入れ、気持ちに応えてくれるようになってから、なんだか世界が変わってみえる。

すべてのものに対して優しく穏やかに接せれるようになった。

Aは俺の薄汚れた心をどんどん浄化してくれていっている。



職員室に入ると真理子先生が近づいてきた。

「藤ヶ谷先生、今晩よろしいですか？」

小声で囁く。

「そうですね、僕も真理子先生にお話したいことがあるので」

俺がそう言うと真理子先生は面食らった顔をしたあと、少し表情が歪んだ。
良くない話だと想像したのだろう。




「…諦めませんよ、私」

ワインを一気に飲み干すとそう言う真理子先生。

今まで適当にあしらってきたけどきちんとお断りしたのは今日が初めてだ。

「真理子先生は僕にはもったいないですよ」

カウンターに突っ伏す真理子先生の背中をさすった。
あまり飲みすぎると明日に響く。

心配になった俺は「送りますから帰りましょう」と声をかけた。

「…なんか最近の藤ヶ谷先生、丸くなりましたね」

「そうですか？」

「生徒に対しても前は適当に相手してる感じだったのに今は優しく対応してるし、私にも…」

「僕、そんな嫌な教師でしたか？(笑)」

「嫌なやつでした！人が一生懸命アピってんのにかわしてばかりで！」

「すみません」

「…でもそんな飄々とした藤ヶ谷先生を私は好きだったんです。そんな丸くなった藤ヶ谷先生には興味ありませんっ！なので、私が藤ヶ谷先生を振ります！」

「わかりました(笑)」

ちゃんと話をできたかわからないけれど、わかってもらえるまでは何度でも付き合おうと思った。

それくらいしか真理子先生にしてやれることはないから。

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