溺愛ロジック F side

報い ページ31

真理子先生と一度限りとはいえ関係をもってしまったことを後悔していた。

今思えば別に北山なんて脅威でもなんでもなかったのに。

あの頃は俺はほんとにおかしかった。

…いや、もしかしたら今がおかしいのかもしれない。

今ならA玉森と関わろうと少しだったら耐えられる気がする。

けれどそれはきっとAが俺の要望をきいてくれて、俺に嫌な思いをさせないようにと寄り添ってくれているからだ。

昔、児童心理学で読んだ。
子どもに言うことを聞いて欲しい時はまず親が言うことを聞いてあげなくては、聞くようにはならない。

そう、求めてばかりじゃダメなんだ。人間は満たされて初めて相手にも尽くそうとするのだろう。

にしても児童は失礼だな(笑)
まあ俺からしたら高校生のAは子どもも同然だけど。


肝試しの日、Aと準備室にいると誰かが準備室をノックした。

Aを隠してリスニングルームに出るが誰もいない。

…ノックしたのは一体誰だろう。

廊下に出ると真理子先生がこちらに歩いてきた。

彼女が準備室のドアをノックしたのだろうか。

「特定の生徒と仲良くするのはダメですよ？藤ヶ谷先生。北山先生みたいに写真撮られちゃいますよ〜？ふふふっ」

いつもの真理子先生と違い不気味な声で笑う真理子先生に背筋がぞくりとした。

彼女をおかしくさせてしまったのは俺のせいかもしれない。

「…そうですね。ご忠告ありがとうございます」

真理子先生が準備室に入ったらマズイ。

俺は真理子先生の手を取り階段を降りた。

空いている教室に真理子先生を連れ込んだ。

「藤ヶ谷先生ったら、こんなとこじゃダメですよ？」

何を勘違いしたのか恍惚の表情を浮かべる真理子先生は狂ってる。

「…そうですね、学校じゃダメですよね」

話を合わせて微笑み、真理子先生から離れた。

職員室に向かうとついてくる真理子先生に安堵する。

…誰かを陥れると必ずその報いがくるんだろうな。

職員室で増田先生達といつもと変わらない顔をして笑う真理子先生を監視しながら、LINEでAに準備室から出るように指示をした。


Aが嫌な思いをしないように守ってあげなくては。

卒業前に問題を起こすのはダメだ。

決して俺達の関係がバレないようにしなくてはならない。

…真理子先生と一度きちんと話をしよう。

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