溺愛ロジック F side

違和感 ページ27

そんな矢先に、宮田からAを肝だめしに誘ってあげて欲しいと言われた。

宮田は俺が誘わないとAは来れないと思っているようだった。

こいつ、俺とAの関係を知っている…？

ならば、玉森から聞いたとしか思えない。

俺も肝だめしには行かせてやりたいと思い直したし、Aに行くように勧めた。

驚いた顔のA。

ほんとは行きたかったんだな、ごめん。

高校生最後の夏の思い出を奪ってしまうところだった。



宮田ならそれほど害はなさそうだから、二人と下駄箱で別れた。

渡り廊下をゆっくりと歩きながら考える。



…宮田の台詞がどうも引っ掛かる。

俺が許さないと行けないA。

宮田はそれを知っているから、俺から行くように誘ってやって欲しいと言った。

つまり、俺がAの行動を支配していることを宮田は知っている。

宮田が知っているのは玉森から聞いているからだと予測する。

ということは、玉森は俺がAを管理し束縛しているとわかっているにも拘わらず、何もしてこないということになる。

…ほんとにもうAのことは諦めたのか？

今までのアイツなら放置するはずがない。

学校でも全くAに近寄ろうとしない玉森。

それどころか、玉森はAを嫌っているという噂が流れ出した。

玉森がもうAのことを好きではないのならマークする必要も排除する必要もない。

もともと誰でもいいようなタイプの人間だったし、俺のものになったAに魅力を感じなくなったのかもしれないな。

これで邪魔者はいなくなった。



呼び出せば喜んで俺のもとへ来るA。

見つめると優しく微笑むA。

前じゃ考えられない。

君がいつでも笑顔でいられるように俺も変わらなくては。

北山の受け売りではないけれど、一方通行の愛にならないように。

偽りから始まった愛を本物にできるように。

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