溺愛ロジック F side

思い出を君に ページ26

北山の後任として塚田先生が体育教師として採用された。
塚田先生はいつも笑顔で生徒とはすでに仲良くなっている。

ただ、ものすごくグイグイ来るから少し、いやかなり鬱陶しい。

北山のあの距離感は居心地が良かった。

また、北山がやっていた生指を担当することになったが、北山と違ってビシッと注意できないのが難点だ。

北山は普段は生徒とじゃれたりして友達関係のようだったが、指導するときは厳しくできていた。

塚田先生は少し優しすぎるタイプなのかもしれない。

…北山、どうしているんだろうか。気にならないといえば嘘になるけれど陥れたのは俺だ。

それと、横尾先生が俺のことを観察してくるようになった。もしかすると北山の件で俺のことを疑っているのかもしれない。

梨華と付き合いのある横尾先生なら、梨華から俺のことを何か聞いているだろうし。

「藤ヶ谷先生、怖い顔してどうしました？」

増田先生だ。

「見てくださいよ、衣裳できたんです！」

じゃ〜ん、と言いながら衣裳を広げる増田先生。

「え、まさか増田先生が？」

「夜な夜ながんばっちゃいましたよ〜♪特に藤ヶ谷先生のヴァンパイア！」

軽く目眩がした。

「そうですか…ありがとうございます」

「いや〜、女生徒達に頼まれたんですよ！藤ヶ谷先生は絶対にヴァンパイアにしてほしいって！」

…それでヴァンパイアなのか。納得した。
加藤先生の落武者みたいな不気味さが足りないのが気になっていたから。

「増田先生は手先が器用なんですね、羨ましいです」

「僕からしたら、真理子先生を手玉にとった藤ヶ谷先生のが羨ましいですよ」

…やはり女はお喋りだと思う。
真理子先生はきっと俺と関係を持ったことを他の教師に匂わせているのだろう。

早めに対処しなくては。

「生徒達のいい思い出になるように頑張りましょうね！」

増田先生が少年のような顔で笑った。

思い出…。そうだな。

修旅にも行けていないA。肝だめしくらいは参加させてやりたい。

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