溺愛ロジック F side

君の笑顔 ページ11

俺が梨華のことがあってAと関わるのを躊躇っている間に、玉森とAはかなり親しくなったみたいだ。

また子供染みた嫉妬が沸き上がる。

玉森がまるで騎士のようにAに寄り添うから、更に面白くない。

このままじゃ俺はいつか玉森に…。

こんなに何かを独占したいと思ったのは初めてだ。法を犯してまで。

梨華には束縛はしていたけど、いなくなった時点でほぼ諦めていた。

それがAに対しては全く冷静じゃいられない。

いつものように嘘っぱちの自信を振りかざしてAに畳み掛けるけど、やっぱりAには笑って欲しい。できたら俺だけに。

もし、もし俺がこんな卑怯なやり方じゃなくて、純粋にAに思いを伝えていたら、そしたらAは俺にも曇りのない笑顔を見せてくれた？

わからないんだ。自分がどうしたいのか、どうしたらAの心も手に入るのか。



Aの母親に気に入られておきたい俺は、家庭訪問をして、Aの様子を聞いた。

岬達は相変わらずだけど、Aはもともと優しい子だし、誤解さえ解ければすぐ仲良くなれるだろう。多分Aが嫌われたのは俺と舞原のせいだろう。もしかしたら、玉森も。

Aに対しあきらかに特別扱いしていることにAの母親はとても満足しているようだ。

入るつもりはなかったのにAの部屋に案内される。見ると水族館で買ってあげたペンギンのぬいぐるみが飾ってあった。

あの日あんな酷いことをされたのに、飾ってくれたんだ。

嬉しくて気分が上がる。部屋に入って良かった。

高鳴る気持ちが落ち着かなくて、ぬいぐるみで遊ぶとAに注意された。

投げたら可哀想だっていうA。

…Aのがよっぽど可哀想だよ。

優しい性格につけこんでごめん。

だけどほんとに好きだから。

できるだけ傷つけないようにするから。

だから俺のこと好きになって。



学校では思うように動けないから旅行に誘った。

前、水族館に行った時、Aは心から笑ってくれていたから。

またあの笑顔が見たい。




A、笑って？






まさか北山がライバルになるなんて思いもしなかった。

虚勢をはってみたけど、正直玉森よりかなり手強い。

北山の良さを知っているから。

正義感の強い北山のまっすぐな気持ちを知って、なんだかもう疲れてしまった。





もう、このままAと二人で消えてしまいたい。

例えそれがハッピーエンドではなくても。

罠→←再会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す