溺愛ロジック F side

日常 ページ2

「藤ヶ谷先生っ！おはようごさいますっ」

「おはよう」

笑顔で挨拶をかわすと頬を赤らめる生徒達。

「相変わらず大人気だなぁ」

同僚の北山だ。

体育教師ということもあり、学校の風紀を任されている彼は、やはり生徒に疎まれてしまう損な役回りだ。

それでもたまに羨ましいと思うときがある。

生徒に対してできるだけ愛想を振る舞うようにしている俺。

この見た目のせいで初めの印象がかなりよく思われてしまうからこそ、変なことはできない。

寧ろもっともっとと、求められる。

北山は初めの印象があまりよくないせいか、頑張らなくても「意外にいい先生」みたいに思われるんだから面白くない。

「藤ヶ谷せんせー、おはよーございます」

一年の玉森だ。確か成績トップで入ったから一年生代表で挨拶してたな。

そのわりにはふんわりとした雰囲気でいい意味でゆるい。

「おはよう」

「よく朝からそんな爽やかでいれますね」

あくびをしながら俺に尋ねる玉森。

「玉森は朝は苦手か」

「ん〜、まぁ…。あ、宮田、はよ〜」

「玉！おはようっ！あ、藤ヶ谷先生おはようございます！」

「おはよう」

「玉、見て、舞原さん来たよ」

舞原由璃。彼女はその容姿から、玉森同様、一年生どころか他の学年の生徒からも認知度が高い。

「まーいはらっ。おはよ」

玉森が舞原の肩を組んだ。どうやら彼女のことを気に入っているらしい。

「玉森くん、おはよっ♪」

「今日さ、帰り予定ある？一緒に帰ろ」

「ごめんね〜、部活があるの」

舞原にはその気は全くなさそうだ。

「玉に言い寄られて落ちない子がいるんだね〜」

「そりゃいるだろ。まあいいや、じゃあ次は3組の太田だな。めちゃ巨乳だし」

誰でもいいのかよ。

でもなんだかんだと青春を謳歌してるのはちょっと羨ましい。



何ヵ月かして、舞原に告白のようなものをされたけど、軽く受け流した。

俺は今だに梨華以上に好きになれる人に出会えていない。

でももうこのま一生独りでもいいかなとも思うときがある。

仕事もそれなりに充実しているし。

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