食後の運動 ページ40
＜東谷目線＞
｢アンタら、良くその面子で手が組めたな｣
｢特にそこの、鶴見中尉の手下だった男！一度裏切った奴は、何回でも裏切るぜ？｣
｢杉元ォ……お前には殺されかけたが、俺は根に持つ性格じゃねぇ。｣
｢でも今のは傷付いたよ｣
｢杉元？もしかして貴方が‘不死身の杉元’？｣
尾形を突き落としたりしたあの杉元が、この傷の男なのだろうか？だとすれば、この状況で本当に良く食事が出来るものだ。
｢……そうだが、お前は何なんだ？｣
｢たかが霊媒師、一人で北海道に来た…偶然だとしても、どうして尾形なんかと居るのさ｣
｢おいおい、食事中に喧嘩すんなよ〜｣
私が答えるよりも先に、白石の声により、その場は収まった。杉元の事だから、また今度聞きに来そうだ。
そんなわけでなんこ鍋を完食し、土方が月島の死体探しと偽物の刺青人皮の見分け方の手掛かりを探すことにしようと話を進めて、かれこれ数時間だ。手分けして各々を探すことになったので、私はこの剥製屋のあらゆるところを探して手掛かりを探す。他には土方と、尾形、家永が居る。
───── ﾊﾟﾘﾝｯ!
どこかの窓が割れる音がした。それが続けて二回程。私はとっさに、この部屋の窓から離れる。まだ割れてないがいつ割れるか分からないからだ。案の定、外側から窓が割れ、カーテンに火がついた。
｢火炎瓶ねっ！！｣
外側から窓が割れたと言うことは、外側に何者かが居ると言う事。そして、それは複数人だと言うことが分かる。急いで玄関前の廊下に出ると、家永が既に外に出ようとしていた。
｢家永、外に出るな！撃たれるぞ｣
｢えっ！！？｣
｢さっき、チラッとだが軍服が見えた……月島軍曹は生きていたと考えて良い｣
て、ことは私達に偽物の手掛かりを見付ける前に消すって事か。きっと鶴見の作戦だろう。
｢この状況、どうするの？｣
｢この家は、窓に鉄格子があり、連中も突撃するなら玄関からしかない｣
｢ははっ、連中を玄関まで追い込む…！！」
そう言うと尾形は階段を登り、二階から狙撃する。音で分かるのだ。なので私は家永を連れて、尾形が玄関まで追い込んでいる内に煙を外に出す為、窓を開ける。
三つ目の窓を開ける時、家永から
｢東谷様、こちらです！｣
と、言う声が聞こえた。そちらへ赴けばアシリパを背中にくっ付けた牛山が居て、鉄格子を外していた。頼れるには頼れるのだが、やっぱりどこか化物地味ていて、思わず私は
｢どんな馬鹿力よ…｣
と、呟く。尊敬はしない。
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作者名：文揚げ | 作成日時：2021年10月4日 17時
