たった一度の恋。2 (ページ4)

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「うわ、急に立ち止まるなよ」

背中に優太がぶつかった衝撃を受けたけど

そんなことはどうだっていい

Aさんからの返信が嬉しくてそれ所ではないから

「ごめんやっぱり彼女と会ってくるわ」

「はいよー」

案外あっさり了承してくれて

駅まで一緒に行こ、なんて紫耀が言ってくれた。

「廉の彼女って岸くんも知ってんの？」

「そう、知ってる！サークルの飲み会で2回くらい会ったことあるんだよ」

どういう訳か優太は得意気に話した。

別に誰も羨ましがんねーだろ。と思ったけど

素直な紫耀はいいな～と返す。

「今度紹介してよ」

「機会があったらな。」

「わーい」

「機会があったらやで」

念押しした機会は一瞬にしてやってきた。

「廉くん？」

あっという間に着いた駅で3人と別れようとした時

これから会いに行くはずの人の声がして驚いた。

「え、なんで居るん」

「なんでって電車乗るためだよ」

声の先に居たAさんは

落ち着いたフォーマルな格好に加えて

綺麗なまとめ髪で、大人な雰囲気が妙に唆る姿をしていて

誰にも見せたくないという変な独占欲を掻き立てた。

「友達？」

「あーまあ‥」

「Aさん、こんちわっす！」

「あ、岸くん久し振り。あとは‥‥」

「ジンと紫耀。大学の友達。あとAさん、俺の彼女」

こんな可愛い人、誰にも見せたくなくて

ジンと紫耀の紹介を適当に済ませた俺は

簡単な挨拶をして3人と別れた。

「廉くんなにか急いでる？」

「急いでるよ」

「どうして？」

「Aさんが可愛いから、早く帰って隠さないと」

「なにそれ、可愛いね」

俺の右手をちゃんと握るAさんは

可愛いなんて言って笑ってるけど充分貴女の方が可愛いと思う。