たった一度の恋。2 (ページ19)

今日:2 hit、昨日:16 hit、合計:90,827 hit

- 59 . ページ19

･

見つけ出したAさんは

心配してた通りナンパに対応していて、腹が立った。

「俺の彼女になんか用ですか」

「あ、廉くん」

すごすごと去って行く奴らを見送って

俺の顔を見て嬉しそうにしているAさんの額を

指で軽く弾く。

「痛ぁ‥。」

「これからはちゃんと早めに連絡して」

「はーい」

「俺は早く会える方が嬉しいから」

「うん、ありがとう」

11月に入った途端、冷たくなった風のせいで

冷えたAさんの手を握って指を絡めた俺に

彼女もちゃんと応えてくれた。

「皆も会いたがってたから、まずあいつらの所行ってもええ？」

「うん！」

いつもの道、いつもの風景、いつもの校舎。

そこにAさんがいるのが不思議で、だけど嬉しくて

特別な道、風景、校舎へと変わっていく。

「あ！Aさん！」

優太が俺らに気付いて手を振った。

「駅からの道わかりました？」

「うん、大丈夫だったよ。ありがとう神宮寺くん」

「Aさん！岸くんが作った焼きそば食べますか？」

「岸くんが作ったの？じゃあ貰おうかな」

「紫耀ナイス！Aさんあざっす！！」

注文を受けた優太が焼きそばを加熱している間

Aさんを見てきょとん顔のツムギとモナを

紹介しようと、Aさんの肩を叩いた。

「Aさん、このふたり俺と同じ学部でよく一緒にいるツムギとモナ」

「初めましてツムギです」

「モナです」

「んで、俺の彼女のAさん」

「初めまして、挨拶が遅くなってごめんなさい」

律儀に頭を下げるAさんに

ツムギもモナも慌ててる。そりゃ慌てるわな。