第43話「対元部下戦(前編)」夢主 ページ44
私達の前に立ちはばかる彼女は、私のかつての弟子……厭、部下である。
厭々新人の育成係を命じられた私は太宰さんが芥川さんにするのと同じくらい、下手すればもっと厳しく育てた。
そのお陰で、マフィア始まって以来の最高の新人が育ったのだが、その裏で厳しさに耐えかねて、抜けた新人が一番多かった年でもある。
そんな余談はさて置き、彼女はそんな私の元部下の中でも一番秀でた人物である。
……つまり、それは私が一番厳しく育てたことを意味する。
勿論、彼女は私を恨んでいる事だろう。妬んでいる事だろう。
何しろ……彼女の努力を、私は少しも認めてあげなかったのだから。
そんな元上司がマフィアを抜け、マフィアが血眼になって捕えようとしている人虎と行動を共にしている。
そんな情報を耳にすれば、復讐のため、名誉のため……私と戦わない理由が無い。
実際、彼女は私より強いのだから。
……ただし、マフィア時代の、異能が最低限の力しか発揮できない状況のの私に限るが。
「……敦くん、下がってて。私が片付けなきゃいけない問題だから。」
「え、でも……!いろはちゃん、非戦闘員だって……!」
慌てた様子で身構えながら彼女を睨んでそう云う敦くんに、私は少し微笑みながら冷静に答える。
「それは共闘する時の話。私が得意とするのは『護るべきものが居る場での戦闘』。普通、護るべき人物なんて……ただの足枷でしょう?……大丈夫、私を信じて。」
私はニッコリと笑ってそう云った。
……その時の事である。
彼女は機関銃を構え、私に向かって連射してきた。
「いろはちゃん!」
敦くんは彼女の行動に気付き、絶望や恐怖といった色で顔を染めながら……私の名を叫んだ。
第44話「対元部下戦(後編)」中島敦→←第42話「お出かけ・弐」夢主
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時