第19話「夢の中にて。」中島敦/夢主 ページ20
『敦くん!!』
少女の声が、僕の名を呼ぶ。
その声は、もう一度聞きたいと思っていた少女の声で、必死になって探し続けている少女の声だった。
『待ってるから』
慌てて少女の姿を探すが、声はどんどん遠くなっていく。
「待って、いろはちゃん……!!何処に居るの?帰ってきてよ……!!」
『敦くん。私、近くで待ってるから』
少女の声がすぐ後ろでし、振り返るがそこに姿は無く、そこには孤児院の牢がある。
『もう、敦くんは牢の中じゃない』
その通りだ。
彼女が失踪した後、僕は他の子たちと同じ生活を送ることになる。
『待ってるから……来てね、敦くん!!』
また……少女の、声がした。
「___ふぁ……、」
光がさして、眩しさで目が覚めた。
何かの本で読んだことが有る。
太陽の光と云うのは人の目を覚ます効果があるのだと。
だからだろうか。
普段よりスッキリ起きれた……気がする。
「……いろは、ちゃん。」
少女の、僕の初めての友達の名を呼ぶが……勿論返事は無く。
遅れて覚醒してきた頭で辺りを見回し、僕は此処が孤児院では無く見知らぬ場所であることに気が付いた。
「……ここ、どこだ?」
小さな和室に、僕の声が響いた__。
____________
「入社試験、ですか?」
「嗚呼、あの小僧のな。」
思わず聞き返した私に、国木田さんは頷き肯定する。
小僧……恐らく、というか確実に敦くんの事だろう。
「要りますかね?結構いい線行ってると思うんですけど……。」
「其れが探偵社の決まりだからな。」
国木田さんの言葉は事実なので何も言い返せず__というか言い返す気も無いのだが__取り敢えず私は渡された台本を読む事にする。
「……じゃんけん結果決まってるんですか?」
「昨日小僧を送った後俺が負けた。」
「成程。それで私は何を?私の出番無くないですか?」
「爆弾を、作って欲しい。」
……は?
どうやら顔に出ていたらしく、続けて国木田さんは説明して下さる。
「と言っても、正しくは暁の異能で壊れないように……衝撃に耐えれるようにして欲しい、が正確な頼みだな」
「嗚呼、そういう……。任せて下さい。」
昨日、敦くんの異能をチラッと見たけれど、もし何かの弾みに異能を発動させてしまった時、被害を最小限に抑えて欲しい。
つまりはそういうことだ。
「では俺は太宰達を呼んでくる。頼んだぞ。」
「了解です。」
私は異能を社全体に発動してから、ナオミちゃんと話す事にした。
第20話「前職当てゲヰム(前編)」夢主→←第18話「月下獣(後編)」夢主
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
24人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時