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「やだやだやだ、おれも学校行く!」
「そんなこと言ってもまた熱出たんだから無理だっての」
無理にでも学校に行こうとする弟を布団に再度寝かせる38.5℃、は立派な熱だし、我儘を言うAに冷えピタを額に貼り付けた。
「……ほんぶは?」
「本部?」
本部かあ。どうすっかな。しんどそうなAを歩かせるのもな……。いや、いっそおぶったほうが楽なのか?それも体力的に難しそうだな。
どうするべきか悩んでいるとそれを見たAが歩けるから大丈夫と言う。本当にお前大丈夫なやつか?
「だいじょーぶ、だいじょぶ」
そう弟がへにゃへにゃと笑うから。しかたねーなと無理そうだったらおぶって本部まで連れて行くことにした。
「ちゃんとマスクしてろよ」
「わかってるって」
本当にわかってんのかお前。寒くないようにマフラーをぐるぐるク首に巻かせてから家を出る。外は冷たい風が吹いていたけど、A本人は涼しいだなんて笑っていた。
「本当に無理すんなよ?」
「へーき、へーき」
若干ふらつきながら歩くAの手を引きながら、こりゃ学校には遅刻かなと考える。当の本人はふんふんと鼻歌を歌っていた。
「おー。Aまた熱出たか」
本部に着いて当たり前のように隊室に居座る太刀川さんに思わずため息が出た。大学はどうしたんですと尋ねようと思ったけど後が面倒だからやめておいた。きっと今日は講義がない日なんだろう。そう信じることにした。
「でてませーん」
「はいはい。向こうで寝ようなー」
「38℃くらいあったんで無理させないでくださいよ?」
りょーかいと軽い返事をした太刀川さんにAを預けて大慌てで学校に向かう。
案の定遅刻した。
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む(プロフ) - 大好きです! (2022年10月14日 6時) (レス) @page18 id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年2月10日 16時