【WT】薄氷を踏む【男主】 (ページ6)

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そういえば白チビくんは戻ってきたのに緑川は戻ってこない。拗ねてんのかな。きょろきょろ辺りを見渡すとちょうど部屋から出てきたようで迅さんの姿を見ると上から飛び降りてきた。

……野生児じゃん。

「迅さんS級やめたの!?じゃあ対戦しよう!対戦!」

「相変わらず元気だな」

迅さん迅さんと迅さんの周りを飛び跳ねる緑川。これには白チビくんもぽかん。

「これは一体……?」

「緑川は迅さんに近界民に助けられてボーダーに入ったから」

白チビくんはおれの説明に納得できたのかなるほどと頷いた。どうやらメガネくんも似たようなものらしい。へー。

そしてメガネくんに頭を下げて謝る緑川をよく事情をわかってないまま眺める。

「実際風間先輩とは24敗1引き分けだったからな!」

なーんだそういうことか。25本勝負しての引き分けか。それなら緑川の10-0も納得かも。いや、それを言ったら失礼かな。口に出してないだけセーフ?

「ざんねん」

「何が?」

「んー、メガネくんの実力?」

「そりゃまだまだこれからだろ。なんての、はんてんとじょー?」

「何それ。発展途上のこと?」

米屋の語彙力まじで低すぎじゃん。けらけら笑っていると迅さんたちがじゃあまたと手を振っていた。やっと城戸さんたちのところに行くらしい。

「すまんね、よーすけ先輩。勝負はまた今度な」

「すまんな陽介」

「ちぇー」

ざまあ。そんな思いを込めてくすくす笑っていると頬を引っ張られた。痛くはないけど痛い。

「よねやのばーか、ばーか!」

「お?生意気な口はどの口だー?」

「おれじゃないですぅ」

ぐいーっと、さらに強く引っ張られる。そろそろまじで痛いから離せ。