*アズユーライク

約束まであと一分 kwkm ページ38

瞳の奥に恋が、揺らめくと同じ世界線。
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ちら、と左手首に目をやると 新調したピングゴールドの腕時計が夕陽を反射してキラキラ輝いている。


年末に入れた短期バイトの給料で、奮発して買ったカワイイ時計とスカート。

オシャレすると気分が上がるって本当だったんだなぁ、なんて考えて――自分の単純さにくすくすと笑みが零れた。


もう一度腕時計を見て、時間を確認する。


……約束の午後4時までは あと一分。


『川上さんって、案外時間ぴったり派…？』


なんて呟いて緩む頬を抑えてるとトンと肩が触れた。


「俺が、なんだって？」
『わっ！？』
「…驚きすぎやろ」


いつかと同じ風に くしゃっと目を細めて口元に手の甲を当てて笑う川上さんを見て胸が高鳴った。

相変わらず、かっこよくて、可愛い。
…罪な男ってやつ。


変わらない彼の笑顔と対照的に、あの時から変わったこともある。


彼の髪色は今じゃ光を纏うような金色だし。
私のコンタクトも緑色じゃなく、ただのサークルレンズになった。

――それから目に見えない変化も。


「行こか」


私の右手を自分の左手に絡めて歩き出す川上さん。


こんなかっこいい人が私の彼氏だなんて知ったら、お母さん吃驚するだろうなぁ。
本当に、信じられない。


『ふふ、はい』
「何笑ってんの」
『幸せで、ですかね？』
「…またそんな恥ずかしいこと よく言うわ」


ふいと逸らされた視線はすぐに前を向いて、ショッピングモールまで歩き始めた。


そんな彼の様子を隣でじっと見詰めてたら、じんわりと耳が赤く染まる。


「……見すぎやって」
『ふふ すみません、つい』
「つい、じゃないだろ」


“バレました？”と笑うと、優しい顔して“Aは嘘が下手くそだから、バレバレ。”と小突かれる。


うわ、うわ。カップルっぽい。
なんて考えが一瞬頭をよぎって……赤面。


「いつも俺のこと見てるもんな…って、顔真っ赤」
『う、煩いです、』
「暴言吐き慣れてないところも可愛いね」
『っ…』
「ほら すぐ言葉に詰まる」


可愛いね、ともう一度繰り返して ぽんぽんと頭の上を川上さんの手が跳ねる。

私の心がきゅんと動いたのを見逃さない彼が、甘い言葉を呟いてそっぽ向いた。


「可愛くて、好き」


付き合って早々、また恋に落ちた――なんて笑っちゃうね。


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約束まであと一分

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