*アズユーライク

好きだったよ誰より fkr #req. ページ25

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パソコンから目を離して、ぼうっと天井を見上げている。

撮影部屋の方からは、ワイワイと楽しそうな声が聞こえた。…飲み会はだいぶ盛り上がっているみたいだけど、俺の心はそれに反比例するように沈んでいる。


あはは、と皆の笑い声が右から左へ流れてく…のに、Aの声だけ俺の頭の中でぐるぐると回る。


「……ふーくら、終わった？」
「え？あー…はい」
「行きたくないの？」
「え？」
「いつもならすぐ皆のとこ行くでしょ。…あなた一体いつからそうしてると思ってんのー」


笑いながら“悩み事？”と問う須貝さん。相変わらず鋭い人だなぁ。

まあ悩み事といえば、そうなんだけど。ただ引きずってるだけとも言えるというか。
黙りこくる俺に何かを察したのか、背中をポンポンと叩いて“話聞くよ”と声を掛けてくれた。


…今日だけは、
須貝さんの優しさに甘えてもいいかな。

なんて、思ってしまって。


「……場所、変えていいですか？」
「勿論〜 飯でも、食いに行くか」
「はい」


開いてただけのパソコンをシャットダウンさせて、席を立った。


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「はい、カンパーイ」

須貝さんの声に合わせて、缶ビールがカツンとぶつかる。


“飯でも食いに行くか”という言葉から推測される居酒屋や定食屋ではなく、なぜか須貝さんの家に転がり込んだ俺。
真意は分からないけど家の方が“Aや伊沢に聞かれる”という心配もなくなるし、安心なのは間違いない。

二人のことを思い出しては、ズキズキと痛む心を押し殺した。


軽くつまみながら一缶開けて、ほろ酔いになったところで須貝さんが口を開く。


「で、どうした？」
「…昔話になりますけど、良いですか？」
「勿論！」

お得意のナイスガイポーズで答えてくれる須貝さんに、ぽつりと呟くよう話し始める。


「――俺、Aのこと好きなんですよね。」


“ずっと”と続けると、須貝さんは目を見開いた。

それもそのはず。俺とAが幼馴染というのは周知の事実だが、この話は“誰にも”、“一度も”、していない。Aにすら伝えていないことだ。


幼馴染という繋がりからオフィスで会うだけの関係に変わり、…1年前からは伊沢の彼女になったA。


幸せそうな二人を俺なりに応援してるし、壊したくはない。

けど、この気持ちを捨てきれない。


…子供ながらに奮闘した、俺の初恋だから。


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