*アズユーライク

夢の続きをくれたのは sgi #req. ページ18

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『駿貴、……別れよう』


今、なんて言った？

無駄に知識だけ蓄えた脳味噌はバグったパソコンみたいに固まって、引き留めたはずだけど、なんて引き留めたかは全く覚えていない。

ただ“他に好きな人が出来たから”と言って悲しそうに笑った顔だけが、ぐるぐると回る。掴んでいた腕はゆっくりと離れて行って 呼び止めたのにAの後ろ姿はやがて見えなくなった。


…俺は立ち尽くしたまま、

文字通り呆然とする。


鈍器で殴られたみたいな強い衝撃だけを残して。


…


――ってのは彼此、数時間前の話で。

一人で抱え込みたくない俺は何とかオフィスまでやってきて、福良が淹れてくれたコーヒーを飲みながら固まった心を解きほぐしていた。


よほど衝撃的だったのか涙は一粒も出てこない。
それでも、どことなく雰囲気が違うのか オフィスに入った瞬間、福良に動揺され伊沢にお節介をやかれた。いやぁ、面目ない。


「…で、どうしたんです」

落ち着いたのを見計らって伊沢が問いかけてきた。


「……う〜〜ん。フラれた？」
「えっ」
「えっ？」

伊沢が聞き返して俺も復唱する。いや、え？…俺の方がえ？だわ。

「何でまた…そんなことに、」

伊沢は“須貝さんと一瀬は絶対別れないと思ってました”と呟くが俺の方がそう思ってたし別れる気なんて更々なかった。


「…好きな人、出来たんですってよ」
「一瀬が？」

首を縦に振ると“ありえない”と言わんばかりの表情で固まってる。…いや待てよ。


「伊沢なんも聞いてないの？」
「いやいやいや！聞いてたら“別れないと思ってた”なんて言わないでしょ」
「……そりゃ、そうだわな。」


俺に対して“好きな人が出来た”と言えなかったとしても、伊沢とか仲良くしてた友達にも言ってないなんてこと……あるか？気付かれないなんてこと、あるのか？

あの嘘をつけないAが…？


別れを告げた時の悲しそうな笑顔がフラッシュバックする。
好きな人が出来たのに、あの表情をするか？


……なんか、隠している気がする。


「えっ」
その時、福良がパソコンの前で素っ頓狂な声を上げる。

続く言葉で、俺はAが何かを隠してる事を確信した。


「……一瀬、

クイズノック辞めるって」


「――それは、絶対おかしい。」


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