いつもの調子 ページ31
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『待って』
「…っえ、」
反対方向に掛けだそうとする八左ヱ門の腕を握って引き止めると
八左ヱ門は驚いたような目で私を見上げる。あ、やっと目合った。
『やっと目合ったね。…隈大丈夫?』
「!!あ、大丈夫……えと、探さなきゃ、虫……腕、だから、えっと」
また瞬速で目を逸らし、パニックであわあわと話す八左ヱ門。よほど慌ててるのか言葉がぐちゃぐちゃだ。
普段の責任感溢れる頼れる竹谷八左ヱ門は一体どこに行ったのだろうか…。()
『まあ、そう言わずにちょっと話聞いてよ。またあとで虫探すの手伝ったげるから』
「えぇっ!!?…ま、またか?」
『えっもしかして嫌?』
「い、嫌…ではないけど……話って何だ?」
虫編みをまた握り締めながらおずおずと聞いてくる八左ヱ門
私は『あぁ、』と八左ヱ門の腕を離した。
「…?」
八左ヱ門から一歩後退る。
そして
『……昨日はごめんッッ!!!!』
ガバァッッと深く頭を八左ヱ門に下げた。
「……はぁッ!!?
ど、どうしたんだよA、何で謝ってんの!?」
『昨夜押し倒した事と隈を作らせてしまったことに対しての詫びです』
「そ、そんなのいいから!!顔上げてくれ、こんなところ人に見られたくねぇし…」
ぎょっと目を見開いた八左ヱ門は虫編みを放り投げて私に駆け寄った。言われて渋々顔を上げると焦リ倒した八左ヱ門の顔と目があう。
あ、いつもの八左ヱ門だ。
『あー…許してくれる?八左ヱ門』
「いいってそんなん、そんなことで怒ってねーし…」
『わーいやったー
…ふふ、いつもの調子に戻ったね』
「えっ」
ぽかんとした顔をするとハッとして自分の顔を触る八左ヱ門に『私のおかげだよねw』とまた笑った。
「…お、おかげ……って、お前のせいでもあんだけど」
『えっ許してくれたんじゃないの???』
「…それとこれは別だろ」
いつもの調子を取り戻してきたのかまたちゃんとした(?)会話を交えながら放り投げた虫編みを拾う八左ヱ門に笑が溢れる。
良かった良かった。これでまた元通りになった。…はず。
「……で」
『え』
「…毒虫、探すの手伝うんだろ。付いて来いよ」
『……あぁ…言ったなそんな事……()』
「なんで後悔した顔してんだよ…」
『いや…良いんだけどね。うん。手伝いますよ…(遠い目)』
その後生物委員会の毒虫探しに付き合わされた。
やっぱあんな事言わなければよかったかもなぁ(もう遅い)
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スイちゃんのご友人です! - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ シューッ (2023年2月6日 12時) (レス) @page40 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - てか作者さん!! 愛され最高✨ 天才です!! 友達と今日遊んでその時にこれオススメしてハマってましたwww これからも無理の無い範囲で頑張ってください (2022年3月12日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
杏。(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです〜!続き頑張りますね!! (2022年3月12日 13時) (レス) id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 今回も最高です!!✨ 続きまってますね (2022年3月12日 12時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
杏。(プロフ) - あいさん» うわぁぁあ初コメありがとうございます!!!そう言って頂けて嬉しいです…!!夢主ちゃんがずっと不憫…いつか報われるといいですね(笑) (2022年3月4日 19時) (レス) @page40 id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏。 | 作成日時:2021年8月17日 12時