事故?? ページ12
『………八、左ヱ門?』
「…………え??」
あのボサボサの痛んだ髪からは土や獣のような匂いがする。
八左ヱ門の至近距離だからか、呼吸の音さえも鮮明に聞こえてくる。
…なんと、私は今八左ヱ門を押し倒している体制になっていたのだ。
…………いや、どうしてこうなった(白目)
腕の中(?)の八左ヱ門は私を下から見上げて不思議そうにぱちくり、と瞬きする。
「………A…、?」
そう口から溢してしばらくすると、ボンッ!!!と八左ヱ門の顔が真っ赤になった。
「え、は、な…ッッ?!!な、なん、!!」
『ご、ごめん!!いきなり虫が突進してくるもんだから、つい…!』
「いや、ち、ちち近…ッッッ!!!」
暗闇の中でも分かるほど顔を真っ赤に染め上げてわたわたと慌てふためく八左ヱ門。
持っている虫籠を握りしめながら私よりも遥かに動揺している八左ヱ門を見て何か段々冷静になってきた。
なんか自分よりも感情高ぶってる人見ると冷静になるよね。
そりゃ私だって少しは恥ずかしいけどなんかスンッて羞恥が抜け落ちた()
『あー…えっと、ごめんね?とりあえず離れるから』
「…いや…俺も……悪かった」
『体起こせる?』
「………………おう、、」
まだほんのり赤い顔で体を起こす八左ヱ門から離れて、床に落ちた虫編みを拾い上げて彼に手渡した。未だに八左ヱ門はどこか上の空だ。
…重症だな、こりゃあ…。
_____________________
あの突進してきた虫は近くに止まっていた。
さっきのあの暴れぶりは嘘のように大人しく、あっさり捕まえることができた。
『良かったね、これで虫全部捕まえられたよ』
「…おう」
『それじゃあもう遅いし部屋戻ろうか』
「………」
『……聞いてる?』
「…えっ?あ、ききき聞いてるよ…!!そ、そうだな!帰ろう!」
汗がだらだらで上擦りながら返事する八左ヱ門にいつもの頼りがいのある姿はどこに行ったんだ、と心底思う。
お互い無言のまま歩く。
少し気まずいが、その空気もすぐに部屋について途絶えた。
『あ、部屋ついた。じゃあね八左ヱ門、おやすみ。』
「あ……お、おやすみ…」
私はぎこちなく返事を返す八左ヱ門に軽く手を振って部屋に入り襖を閉めた。
…うん、事故はあったけど少しは気を紛らわせたかな…。………今日はなんとか、寝れる気がする。
そのまま私は布団に入り、今度こそ眠りについた。
_____________
「(………礼、言い忘れたなぁ…)」
.
337人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スイちゃんのご友人です! - 更新待機 面白かったです三c⌒っ.ω.)っ シューッ (2023年2月6日 12時) (レス) @page40 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - てか作者さん!! 愛され最高✨ 天才です!! 友達と今日遊んでその時にこれオススメしてハマってましたwww これからも無理の無い範囲で頑張ってください (2022年3月12日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
杏。(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです〜!続き頑張りますね!! (2022年3月12日 13時) (レス) id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 今回も最高です!!✨ 続きまってますね (2022年3月12日 12時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
杏。(プロフ) - あいさん» うわぁぁあ初コメありがとうございます!!!そう言って頂けて嬉しいです…!!夢主ちゃんがずっと不憫…いつか報われるといいですね(笑) (2022年3月4日 19時) (レス) @page40 id: fabe2279e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杏。 | 作成日時:2021年8月17日 12時