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sideユリ




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「....マジで大丈夫？」


「うん。」



振り返った安田に、アタシはそんな返事しかできなかった。
それをじっと見ていた安田は


「大丈夫じゃないけど、俺には話せない。
って聞こえる。」



そう言って、また松葉杖をついて歩き始めた。


そりゃそうだよ。
安田には、話せないよ。

今までずっと、胸に秘めてきた思いなんだもの。
アンタに知られないように、ひっそりと思ってきた事なんだもの。

だけど。
今ならちょっと、伝わるんじゃないかって
なぜか思ったアタシは
安田の後ろから声をかけた。



「....ねぇ、アタシさ。
アンタのこと追いかけて、大学入ったんだよ。」



「....は？」


振り返った安田に
もしかしたら伝わるんじゃないかって期待して。


「....アンタのそばにいたかったから。
同じ学部の同じ学科を受験したの。」





どうしても。
そばにいたかった。離れたくなかった。

あの時の気持ちが蘇る。

隠してきたこの気持ちを
今、安田が受け入れてくれたら.....？



ささやかな期待が、アタシの中にはあったんだと思う。




「....ずっと、言えなかったけど。
好きだったよ、アンタのこと。」



長い間、胸に秘めてきた思いを
安田にさらけ出したら。



急に涙が溢れてきて。
頬を伝って、ポロリと落ちた。







その向こう側で。
安田は真剣な顔してアタシを見てる。



いつもはヘラヘラ笑って
アタシにはココロの内を明かさないくせに。
今まで見たこともないような表情を見せられて。


ここから2人の関係が、変わってしまう。
そんな予感がした。


それなのに。



安田はすぐに、いつものヘラヘラした表情に戻った。





「....ハハ(笑)何言ってんのお前。
Aちゃんじゃあるまいし。」



安田は、アタシが秘めていた恋心を笑い飛ばして
また前を向いて歩き始めた。


その後は
もう、涙なんか出なかった。



安田が望んだアタシとの関係は

今まで通り、ヘラヘラ笑って
程度な距離を保った


“ただの 友達”。



その後ろを、また同じように
ついて歩いて。



「....ホント。何言ってんだアタシ(笑)」




さっきと何も変わらない

2人の関係を


必死に保って歩いた。




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