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sideユリ





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「....やっぱ折れてたね。」



「....な(笑)マジで痛かったもん。」





結局、安田の右足は骨折で
回復までは2カ月以上かかることがわかった。


処置をしてもらったら
少し痛みは引いたらしく

松葉杖で歩く安田の歩幅に合わせて
電車で家に帰ることにした。





「....なぁ、晩メシ食ってかね？今日のお礼に奢るから。」




「....いいけど。」


人が疎らな時間帯の電車に揺られて
反射的に返事をしてから
ふと相葉くんのことを考える。




会いに行くのは、今日じゃなくてもいいか。
こんなケガしてる安田を一人にするのも可哀想だし。


また、時間のある時に
ゆっくり会いに行けば。




そんな風に思って。
隣に座る安田をチラッと見た。



「....めちゃくちゃ疲れたでしょ？」



「....ん？まぁね。
足が不自由だと、結構体力使うもんだね(笑)」




安田は、強がって笑うけど。
わかるよ。
めちゃくちゃ落ち込んでるの。


一般入試で入っておきながら
推薦揃いのサッカー部でエースになるなんて
並大抵の努力じゃできない。



その功績を、一旦白紙に戻されるんだから。
絶対に悔しいはず。


だからって、アタシは何をしてあげられるわけでもないんだけどさ。





「....大会終わった後でよかったじゃん。
焦んないで、ゆっくり治しな。
来シーズンには、完全復活できるでしょ。」



「....だな(笑)」




安田は、それ以上は何も言わなかった。




駅に着くと
安田は使い始めたばかりの松葉杖を器用に使って
歩き出した。



「....辛くない？」



「....平気。」



安田が歩く、その一歩後ろを追いかけて。



今までも。
こうして背中ばかり追いかけてきたんだなって
急に切なくなる。




こんなに努力家で
負けず嫌いで強がりで
いつでもヘラヘラしちゃって。



そういうところに、いつの間にか惹かれて行って。
アタシは安田に 恋をしたんだっけ。




今までの想いが、走馬灯のように蘇って。


やっぱり、好き。


なんて、思ってたら。




「....ここの中華丼、美味いんだよね。」




そう言って立ち止まった安田が
暖簾をくぐったのは


アタシが一昨日食い逃げした
中華丼の店だった。





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