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「.....学祭の日にね、相葉くんたち、みんなで食べにきてくれたでしょ？
その時も相葉くんから話しかけてたよ？」


翔に言われて
そう言えばって思い出して。


「.....それにね、相葉くんから話しかけられたユリちゃん、すごく楽しそうだった。
あの時の事を考えたら.....やっぱり今日の展開はおかしいよ！」



相葉くんは、ユリちゃんの事
すごく気になってるんじゃないかって思って。

ちょっと光が見えたような気がして
翔と繋いだ手をギュッと握りしめた。



「.....おかしいって言ったって。
当人同士が話したくない事に首突っ込んでもな.....

お前が何とかしてやりたいって気持ちは
わかるけど。」


私の方をチラリと見た翔は
そんな事を言って、私から目を逸らした。




「.....そうだよね。」



翔の言うことは、ごもっともで。
これ以上、私たちができることなんて
何もないんだろうけど。


あんなに悲しそうで、弱ったユリちゃんを始めて見たから。
力になってあげたくて。


どうすることもできない状況に
どんどん気持ちが沈んでいった。





「.....そんな落ち込むなよ。」

翔が、ポツリと呟いて
繋いだ手にギュッと力を込めてくれる。


相変わらず視線を合わせてはくれないけど。
気遣ってくれることがわかるから
嬉しくて。




「.....うん。ありがと。」


そう言って、私もギュッと繋いだ手を握り返した。




「.....なんかあったら、すぐに言えよ？」


そう言った翔が、立ち止まって気づく。
いつの間にか、家の前まで来ていて。



離れがたかったけど
繋いだ手をやんわりと離そうとした、その瞬間。


翔に、ギュッと引き寄せられて。


翔の胸元に、ちょうどよくおさまった。



「.....おやすみ。」

耳元で、翔の声が響いて。
思わずギュッと、抱きついたけど。


やんわりと離れた翔は



「.....明日な。」



そう言って、私に背を向けて歩いて行った。

翔の背中を見送って。




....本当は、もっと一緒にいたかった。


って、言えばよかったなんて後悔して。


1人になったら
大好きな人と、離れる時の寂しさと
大好きな友達に、何もしてあげられないもどかしさに
胸が押しつぶされそうになって。


泣きそうになるのをこらえながら。


「.....ただいま。」



玄関の扉を開けた。




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