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「.....少しは....私の気持ちがわかってくれた？」




意地悪だと思ったけど
やっぱり私の気持ちをわかって欲しくて。




「私が安田くんと話してたことが気に入らないなら
翔と泉谷さんが一緒にいることだって
同じなんだよ？」



それをわかって欲しくて
翔を試してみたの。



きっと怒るだろうな。って
わかってる。
わかってるけど。


翔に背中を向けたまま
嫌な言い方して、翔がなんて言うのか
試すような事をした。




後ろから、翔の足音が近づいてきて



.....怒られる.....



そう思った瞬間。



ふわりと背中から抱きしめられて。


「.....ごめん。悪かった。」


耳元で翔の声が聞こえて
涙が出そうになる。



謝って欲しかったわけじゃない。
ただ、わかって欲しかっただけだったのに。


今、この状況で。
翔は謝る事しかできない立場なのに。

こんな事させて、なんて嫌な彼女なんだろう？


自分で自分が嫌になって。
ずっと堪えてた涙が、ポロポロと零れた。



「.....A.....ごめん。」



背中から抱きしめてくれてた翔が
くるりと私の向きを変えて。


ギュッと抱きしめてくれる。


「.....もう、さっきから謝ってばっかり.....」




そうさせたのは私なのに
謝るしかない翔が、可哀想で。

思わず口にしたけど。
それに対しても翔は



「.....ごめん。」


そう言って、ただ私を抱きしめるだけだった。

翔の事が大好きだし
信じてる。
でも、どうしてもモヤモヤする胸の内を
うまく解消できないの。



「.....翔の事、ちゃんと好きだよ。
でも....でもやっぱり、なんだかモヤモヤするの....」



翔には、そんな風に伝えるのが精一杯で。
顔を見ることもできずに
翔の腕の中からやんわりと離れた。




「.....帰るね。」


バッグを持って玄関に向かうと


「.....送る。」


翔が慌てて後ろを追いかけて来たけど。


「.....1人で、帰りたいの。」


振り返りもせず、玄関の扉を閉めた。




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