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前に進む、2人。 ページ21

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「.....で、めでたく仲直りしたと。」



次の日、泉谷さんと会ってから
翔と話したことの一部始終を
ユリちゃんに報告して。



「うん。心配かけてごめんね。」



そう言ったら、ユリちゃんは
笑いながら安堵のため息をついた。


「それにしても櫻井氏。
めちゃくちゃ小さい時からAのこと好きだったんだね。
まぁ、薄々気づいてはいたけど(笑)」


そう言ったユリちゃんは
次の講義のテキストを机の上に出し始めた。


「え？それって...どの辺で気づくの？」


思わずそう聞いた私に
ユリちゃんは手を止めて。



「.....うーん。
Aには、たぶん一生わかんないんじゃない(笑)」


なんて、笑いながら私を見て。


「アンタたちは、もう大丈夫だよ。
アタシが保証する。
もっと櫻井氏に甘えていいと思うよ。」


って、言ってくれた。


「.....あとは....まぁ。
その中学生みたいな関係性の一線を越えられたらいいね(笑)」



いたずらっぽい笑みで言ったユリちゃんに
そっと近づいて。


「.....それってさ。
どういうタイミングで、一線越えるの.....？」


「.....は？」



そうだよね。素でびっくりしてるよね。
って言う表情のユリちゃんに
なんだか申し訳ない気持ちにさえなる。



「.....今まで2人きりになっても....
そういう感じにはならなかったから......」


って不安をこぼしたら。


「そりゃアンタ、櫻井氏が一生懸命ガマンしてるんでしょうよ(笑)」



「.....そうなのかな.....
私に対して“そういう気持ち”にはならないのかなって不安になっちゃって.....」


そこまで言いかけたら
ユリちゃんが深いため息をついた。


「あのさ、考えてみなよ。
櫻井氏は、アンタの水着姿も見たし、風呂場でのぼせた全裸の姿だって見てんだよ！？
同じ布団の中で抱き合ってチューしたら、
絶対その先に進みたいに決まってるじゃん！

それを櫻井氏はずっとガマンしてるんだよ？
まぁ....その先に進む度胸がないのかもしれないけどさ....いやでも、Aに魅力がないとかあり得ないから！」


ものすごい勢いでまくし立てたユリちゃんに
ビックリしたけど。


ユリちゃんの言葉は、誰よりも説得力があって。


「.....そっか。」


ちょっとだけホッとして。



「.....ま、櫻井氏にも考えがあるんだと思うよ？
また2人で話し合えばいいんじゃん？」



そう言ってくれたユリちゃんに
笑顔で“うん”って返したら
ユリちゃんも笑ってくれた。


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