◆◇◆ D S H 5 ◆◇◆ 【S】

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翔にギュッと抱き寄せられて
やっぱり好き....って言う気持ちが溢れる。


同時に、また翔に
“ごめん”って言わせたことに罪悪感。


「.....泉谷さんがね、不思議がってたよ？
“どうして私じゃなくて、アナタの方がいいのかしら？”って。」


あの時の気持ちを思いだして、泣きそうになってくる。でもグッと堪えて、翔の答えを待った。


「.....どうしてって.......」




やっぱり翔は言葉を濁して
次の言葉を一生懸命考えてる。


「.....泉谷さんの方が、美人だし頭もいいし....
一緒に歩いててもお似合いだよ？」



あぁ、本当はこんなこと言いたくないのに
翔に“そんなことない”って言って欲しいばっかりに、可愛くないことを言う。


いつもなら
“何言ってんだ、バーカ。”って怒られるような
そんなところだけど。


今日の翔は
私の肩を抱いた手で、そっと頭を撫でてくれて。




「.....確かに、美人だし頭もいいけど。
でもそれだけだろ？
お前と比べた事なんかねぇから、わかんねぇ。」


翔は、一生懸命言葉を選んで
ゆっくり話してくれた。


「.....俺、相当前からお前のことしか見てねぇし。」


....え？


「それってっ......いつから？」


思わず
翔に預けていた頭を起こして
翔の横顔を、まじまじと見つめたら


急に飛び起きた私にびっくりして
一瞬視線があったけど。


翔はすぐに、視線を逸らして。



「.....だいぶ....前から。」


そう一言だけ言って、私の肩をグイッと抱いて
後ろから足を回してきて。


翔の腕の中に、すっぽり入って
後ろから抱きしめられるカタチになった。


ギュッと抱きしめられた腕が心地良いのに
久しぶりに一気に縮まった距離にドキドキして
落ち着かなくて。
心臓が変になりそう。



「.....だいぶ前って、いつ？」


後ろから回された腕に、キュッとしがみついて
今ならなんでも答えてくれそうな雰囲気に
すごく期待しちゃう。


「.....まだお前の方がデカかった頃から。」


耳元で、翔の声が響いて
心臓が飛び出しそうにドキドキする。


「.....翔が、私の身長を追い越したの
中2の夏だったよ？」

「じゃあそれより前だろ。」


いつもみたいに、ぶっきらぼうに答えた
初めて聞く、翔の気持ちに
なんだかくすぐったくて、嬉しくて
きっと私、今すごく締まりのない顔してる。


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