◆◇◆ D S H 5 ◆◇◆ 【S】

確かめ合う、2人。 ページ14

side翔


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Aが風呂に入ってる間に
テレビを見るフリをしながら
必死に次の展開を考える。



今風呂に入ったってことは
“泊まっていい”ってことでいいんだよな？


スウェット用意されてたし。

まさかコレで“帰れ”って言われないよな？


きっと大丈夫と思いながらも
自分の実家がすぐ隣で
コレで“帰れ”って言われても困らない距離だった事を思い出して
一気に不安が押し寄せる。



どうか別れ話になりませんように。


そう願いながら、ドライヤーの音が聞こえてきて
一気に緊張感が押し寄せる。


そのうちに、ドライヤーの音が止まって
カチャンと扉の開く音がして。




「.....お待たせ。部屋行こ？」



そう言ったAの後を追いかけて
いつも2人で過ごしてる部屋へと向かった。





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「.....泉谷さん、ドイツに行くんだってね？」



部屋に入ってベッドに座るなり
Aが言うから。


隣に座ろうと思ってたのに
なんだかそれができなくなって

俺はAの足元に
ベッドに寄りかかるようにして座った。



「.....そうらしいな。」

「話してないの？泉谷さんと。」


“もう傷つけない”そう決めていたから。


「あれ以来話してねぇよ。」

つってもまだ2日しか経ってなくて
なんの説得力もねぇなって思いながら答えて。


そしたらAが

「私、今日話したよ？」

って淡々と言うから。

「また何かされたのか！？」

って、思わずAの顔を見上げて。


ううん。って首を振ったAは
小さな深呼吸をしてから。





「キス、してないって言ってた。」

って、急にそんな事を言いだすから
きっとランウェイの事だと思って。



「お前がいるのに、するわけねぇじゃん。」


それは、当たり前だろ。
って、思いを込めて
照れ臭いからそっぽ向いて答えたけれど。



「.....したように見えたよ。」

Aの声が少しずつ震えてきて
“また泣かせる”って、不安になる。


Aはきっと
あのランウェイの状況を思い出して
何度も何度も泣きそうになるんだと思う。


ベッドの上に座ったAの足元から
腕を引っ張ってやったら
素直にそれに応じて床にペタンと腰を下ろして。


肩をギュッと抱き寄せたら
素直に俺に身を預けてきたから、少しだけ安心して。


「.....ごめん。あの時したこと全部。
俺が悪かった。」


もう何度も言ったその言葉を
また繰り返した。





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