41話「堕天者の願望」 ページ41
「どーせ最後になるだろうから教えといてやるよ。おいチビ、帰りの準備しとけ」
「……はい」
だるそうに口を開いてしにがみくんに指示を出した目の前のぺいんとはその冷めた赤い目で俺を睨みつけた。
顔こそは若干あいつの面影があるというのに、性格や言動、仕草諸々がまるで別人のようで。
「神から通達が来たのは事実だ。お前も知っての通り天界の奴らは自分勝手で他人を気にする素振りを見せない」
「…だからってそいつらの指示に従うってのか?お前もぺいんとなんだったら思うとことかねぇのかよ」
「…ねぇな。そもそも、天使に戻りたいって言いだしたのはぺいんと、こいつ自身だ」
その言葉を聞いて目を見開かせる。は…?今、なんて言った?ぺいんと自身が、天使に戻りたいって言ったのか?
「__誰が、そんな言葉信じんだよ」
「こいつの性格は知ってんだろ。とんでもねぇお人好しのバカ。見返りを求めるわけでもなく、自分がどうなろうと、未来がどうなろうとも目の前の他人を助けるようなバカ。天使の力は目に見える範囲の奴全員を救うことが出来る。そんな力を、お人好しのあいつが未練なく手放すわけねぇだろ」
お人好し、とんだお人好し。
それがぺいんとへの最高の褒め言葉。なんたってあいつは超がつくほどの善人なのだから。だからって、天使の力を取り戻したいからって天界の奴らがそう簡単にいいですよなんて言うわけ___。
「堕天した奴の願いなんか叶えるに値しない。だからこその取引だ。半年で充分の「人生」を持った人間、又は怪物を連れてこいとのお達しだ」
「…それでAに白羽の矢が立ったのはさっきトラゾーさん達から聞いた。だからって!それじゃあ自分たちの町で調達したら___」
「日常町の現状を知っても尚、その話が通じると思ってんのか?」
「……は?日常町は、まだ生贄制度は実施してんだろ…?」
まさか、そんなことがあるわけがない。
日常町は俺たちの町よりもずっと昔から存在し続けてきた、ここら一帯じゃ有名な港町だぞ?
説明を求めるために、こちらを向いていたクロノアさんの方を勢いよく見ると、バツが悪そうな表情を浮かべながら目を逸らされる。
「…ここ最近町の機嫌が悪いんです。天候が悪くなって海も荒れて、そこに住む魔物は獰猛な性格になっちゃったり。…もう一つの交通便でもある鉄道は山火事や落石が起きたり…」
「そんな…」
日常町に、何が起こってんだよ。
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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
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