19話「河童の案内」 ページ19
月光だけが頼りの裏路地をぐちつぼさんの後ろを着いて歩く。
月光があるというものの裏路地の物が全て見える、という訳では無いのでぐちつぼさんが通った後は安全だなと思いながら後ろを歩いている。
これから怪物生活をするんだったら夜目くらい早く効かせた方が良いなぁ……と思っていると前を歩いていたぐちつぼさんが立ち止まった。
「ここです。ちょっと分かりづらいところにあるんでもう2,3回は俺がまた案内しますけど、これからもらっだぁ達に買い物を任されるんだったら覚えといた方が楽ですよ」
『頑張ります…』
私の返事を聞いた後ぐちつぼさんは「まぁ頑張ってください」と一つ笑って店の扉を開いて入っていった。
その後を追うようにそそくさと続けて店内に入ると、なにやら甘い匂いが私の鼻をくすぐった。
『良い匂い……』
スイーツ店のような甘い香りとゆったりとしたBGM。周りを見てみると、壁や床は暗い色だが置いてある小物とかはぬいぐるみや可愛らしい装飾が施された食器類などと、目を惹かれるような物が多かった。
それらに目を輝かせている私を横目にぐちつぼさんは店のもう少し奥の方に足を進め、
「おぉ〜い!にこにー!!お得意様来てるぞー!」
ぐちつぼさんがそう言うと奥から「はぁ〜い!」と可愛らしい声が聞こえてくる。
その声を確認した後ぐちつぼさんはこっちにゆっくりと戻ってきて私に話しかけてきた。
「今ここの店主呼んだんで。アンタの買い物が終わるまで俺も居るし、終わったら館まで送るように言われてるんで帰る時は声かけてくださいね」
『は、はい……って言うよりなんで敬語に…?』
都市伝説の話をしている時は砕けた感じの口調だったのに今では若干の敬語が混じっているぐちつぼさんに首を傾げる。
ぐちつぼさんは目を見開かせた後、一つ「ははっ」と笑った。
「アンタは「神に認められし者」の六人目。つまり“六大怪物”の一人だから敬語を使うのは当たり前で_」
『_私の方が全然怪物としての日は浅いので敬語じゃなくても大丈夫ですよ。私も、ぐちつぼさんを含めた怪物達と仲良くなりたいですし』
そう言うとぐちつぼさんは目を点にしてそのまま止まってしまった。
や、やっぱり突然のことだったし失礼だったかな……。
と、思っているとぐちつぼさんの後ろからひょこっと何かが顔を覗かせ、私と目を合わせてきた。
「いらっしゃい!怪物専門店へ!」
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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
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