17話「暗闇で光る皿」 ページ17
『久しぶりに商店街なんて行った…』
怪物になって久しぶりに歩いたら民町は人間だった頃からなにも変わっていなくて。
最後に見たら民町の景色はハロウィンの町だったけど今ではもうとっくにその面影はない。
『えっと、次は………怪物専門店…』
どうやら怪物専門店は分かりにくい場所にある上に路地裏という暗い場所にあると言う。
しかも今の時間は夕飯後の夜中なので、怪物成り立ての私は夜目があまり効かないときた。
一つそばにある路地裏を覗き込んでみるも、先が一切見えない真っ暗な空間が続いていて思わず身震いをしてしまった。
『こ、こんなに暗いの……?』
さっきも言った通り私は怪物になってから日が浅い上に、怖いものが大の苦手だ。
好奇心は旺盛な方だが、それは俗に言う怖いもの見たさというものであって怖いものにいざ直面する!という場面では萎縮してしまう。
__と言っても、買い物を終わらせなければ館に戻れないしこれらの物資を欲しがっている皆さんに迷惑もかかる…。
一つ深呼吸をして『よし!』と意を決し、前を向いた瞬間___
「あ、こっち見た」
『うわぁ、ッ?!』
レンズの向こうから私を見ている赤色の瞳とバチッと目が合う。
思わず大きな声をあげて後退してしまった。
と、と言うよりこの人一体いつから私の隣に…?!気配なんて全く感じなかったのに…!?
メガネをかけた男性は「あー」と、少し歯切れの悪い言葉を吐いた後、眉を下げてへにゃっと笑った。
「すみませんすみません。いやぁ、アンタから懐かしい臭いがしたもんでつい」
『懐かしい匂い………?』
慌てて自分の服を嗅ぐもそれらしい臭いはしない。頭の中には今日作った料理だったり土いじりをした時の臭いが思い浮かんだが、目の前の男性から発せられた言葉は私の思っていた考えとは異なっていた。
「アンタから“青鬼”の臭いがする」
『___え、』
“青鬼”
その言葉に言葉を失って目を点にさせる。
青鬼ってあの青鬼…?らっだぁさんの前の種族っていう……。
私の表情を見て考えを察したのか男性は高らかに笑いだした。
「ハハハ!!そうか!アンタが“らっだぁ”の言ってた六人目か!」
『え、えぇ?』
混乱する私にニコ、と笑いかけた男性は口の牙をチラつかせながら口を開いた。
「ようこそ、怪物世界のら民町へ。俺はアンタの案内役を任されてる河童の“ぐちつぼ”って言います。今後ともどうぞよろしく」
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黒狐 - …!前の作品も読ませていただいてました!リメイク版してるのみて駆けつけました!リメイク版も面白いですね!同じ作品を2度楽しめてこちらも楽しいです!ありがとうございます!更新応援してます! (4月23日 22時) (レス) @page43 id: fb020f6fb3 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 2.3年前から読ませて頂いていて何度も読み返すほど大好きな作品です!リメイク前の方も読ませて頂いてます!変わった妖怪という世界観だったりする所やストーリー 設定などとても面白くてめちゃくちゃ好きですまたいつか続きが読める事をずっと待っています。失礼しました (7月3日 11時) (レス) id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
ミドロ - なにこれ……か、か…!神作じゃねぇかよぉぉぉぉぉ!!!!更新頑張ってください!!!! (5月30日 13時) (レス) @page14 id: 9d7832c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - まだ待ってますから、どうか続きを恵んでください (2022年9月11日 17時) (レス) @page14 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - 凄い………私もこんなの作って見たいのですか妖怪などが思い浮かばないです……少しだけ真似してもよろしいでしょうか(土下座)続編待っています!! (2022年1月30日 9時) (レス) id: 30ab8735d2 (このIDを非表示/違反報告)
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