ら民町の化け物事情〜改〜

16話「警戒」 ページ16

コ「Aの魅力に気づき始めてる……？それはAの良い子の部分について？それとも美貌？」

き「………“人生”か」



人間一人の人生、怪物一人の人生。


それらは価値・魅力の無い物に見えて俺たち怪物からすればとても魅力的な物となる。


人生は町の動力源だ。生贄制度を最近まで実装していた俺たちの町の活力の源も人間の「人生」によるものだ。


どれだけ貧しい人間にもそいつなりの人生があって、一人一人違う人生を持っているのが人間と怪物の共通点と言える。


特に怪物になった後の人生は動力源としては素敵なもの。その町に留まっているだけで町を活性化させ、その分町も大きくなっていく。


人間の生活を支えているのは人間？怪物？いいや違う、俺たちの人生を吸って生きている「この町」本体が人間と俺たちの生活を支えている。



レ「怪物は町に滞在してるだけで町の動力源になるしね……しかもら民町には“俺たち”が六人も居る」


ら「あぁ。多分それに目をつけられてる」



怪物の人生は町にとっては大好物。一般怪物でこの扱いなら「神に認められし者」である俺たちは一体どうなってしまう？


そんなの、大好物中の好物だろう。


そんな「神に認められし者」が今、俺たちの町には六人も居る。それに対してぺいんとの町は広い上に人口も多い。それなのに「神に認められし者」があれだけしかいないんだ。



コ「だからぺいんとさん達がAを狙ってるってこと？」

み「俺は有り得ない話じゃないと思うけどね。Aは怪物になってから日も浅いし術もまともに扱えてない。狙うには良い標的だと思うけど」

レ「俺らの考えすぎって可能性は？少なくとも、あの人たちにそう言った敵対心は無いように思えるんだけど…」



それはそれで良い、けど警戒しておくに越したことはない。


特訓の場で面倒くさい術でも使われたらたまったもんじゃない上に相手は厄介な特性持ちやら術持ちが揃ってる。


極めて“あの”ぺいんとだ。手段は多いに越したことはない。



き「…というか日常町ってそんなに廃れてる町か？港もあるし結構栄えてる方やと思っとったけど」



そのきょーさんの言葉に俺は一つ苦笑いを浮かべた。それもそうだ、港がある上に隣町があの【城塞都市】だ。廃れてる方がおかしいと思う、けど＿＿



ら「あの町も、色々と厄介ごと抱えてんだよ。顔役の奴がな」



そうだろ、ぺいんと。

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