☆ ページ2
「すきなの」
悲しそうに俯いて呟くしのぶちゃん。
唇を噛む。
しのぶちゃんは、カナエさんという偶像を求めたしのぶちゃんではなくて、本性を剥き出したしのぶちゃんだった。
日の当たらない部屋でも十分に潤んで見える光った水に触れる。
涙に触れたかった筈なのに、触れたのはただの塩水にすぎなかった。
決して豊満とはいえないけれど。
早熟な男のような私には、そのしのぶちゃんの胸が、吐息が、細い細い腰が酷く蠱惑に見えた。
「好き」
うわ言のように呟くしのぶちゃん。
婀娜めいたしのぶちゃん。
女の人なのに。
女の人に恋してる。
「ごめんなさい」
それだけ言うと、しのぶちゃんは私に接吻をした。
優しくて穏やかで。
だけど燃えるような情熱を覚えるような口づけだった。
お互いに相手をまるで異性のように魅力的に見ているから、さらに求めて止まらなくなった。
もっともっと親密になりたい。
今、この愛情をずっと残していたい。
私達の唇は、溶けた駄菓子のべっこうあめが、もうひとつ溶けかけた溶接した飴のようにベッタリとくっついて、ひとつになろうとした。
「すき、わたしも、すき」
唇をはなして、押し倒されて、腕を広げる。
しのぶちゃんは私に擦り寄って、半開きになった口に、ぬるりと熱い舌を絡めた。
口に広がる苦い藤の花の味は唾液も相まって花の蜜を吸っているようだった。
蝶が、苦い蜜を吸った後、口直しに百合の花を貪った。
昔もしのぶちゃん、こうしたね。
覚えてる?
しのぶちゃん、私。
「ずっと、だい、すき」
チカチカと眩むなか、しのぶちゃんの甘い接吻で目を閉じた。
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紅葉(プロフ) - 両性愛者の件って、善逸君ですか? (2020年4月7日 15時) (レス) id: 9e5b6a6426 (このIDを非表示/違反報告)
ぶちゃ(プロフ) - あっっっっっ(尊死) (2019年12月18日 15時) (レス) id: fb2695ac36 (このIDを非表示/違反報告)
うぇい - んあ”っ!!、、、、好きィイィィィイィ!!更新頑張って下さい!!(・∀・)♭ (2019年12月15日 13時) (レス) id: 55820afc03 (このIDを非表示/違反報告)
レン - あぎゃああああああ見ました!!!!しのぶさん攻め攻めじゃないですかすき!!!!!!甘露寺ちゃんはどん攻め攻めになるのか楽しみです… (2019年11月28日 5時) (レス) id: a8756ff415 (このIDを非表示/違反報告)
いぬお(プロフ) - まめさん» あ、ありがとごじゃいやす (2019年11月26日 18時) (レス) id: 5294fb0fb4 (このIDを非表示/違反報告)
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