あさやけだんし Y.Takaki

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…









雄也「今ならまだ間に合う、っつーか間に合わせる。やめる？」









素肌の私の顔の横に手をついて見下ろす彼の一瞬目を細めてしかめたような表情。








いつかみたいに月に照らされてて、綺麗。









「やめないよ。こわくない。」








かけられたタオルケットを震える手でぎゅって握りしめたの、





ばれないように引き寄せて、








雄也「はいうそー。何年一緒にいると思ってんの。」







…これ、やめな。








無意識に下唇を噛んだのを、彼がキスでやめさせる。








何時なのかもわからない暗闇のなかで、






壁にかかった無機質な時計の音だけは遠くで聞こえてて、








雄也「お前の髪すっげーいいにおい…」








「…でも、雄也とおんなじだよ？」








同じシャンプーを使って、同じ柔軟剤のタオルをつかって、






１つのベッドにふたりでいる今。








雄也「な。へんなの。」








「…へんなの。」









…









雄也「…A？」







「…ん、？」







手を伸ばして、見上げた彼の髪を今は私がくしゃってするの。








雄也「これからなにするかわかってんのー…？」









雄也は私のその仕草に手を重ねて、手首にキスを。









「んー…なんとなく、だけど。」









…そっか。








先の言葉を聞きたくないみたいに目をそらして、





月明かりがさすカーテンを腕を伸ばして閉めたのが、これから起きることの合図。









雄也「A、最後にもう一回だけ聞く。







いいのな、ほんとに。」









私に聞いてるはずなのに、自分に言い聞かせるような雄也の声。







私の頭を抱き寄せて首に顔を埋める愛おしそうな仕草。








いつかこのことを全部後悔する日が来るのかな。








「ね、キスしよ。」







雄也「…こら。」









そんなこと、いっぱいいっぱい考えたんだけどね、








「好きだよ、世界でいちばん」








雄也「ばーかお前、」








すっごく困らせてるのもわかるんだけどね、









「しよ。」








やっぱりどうしても、大好きでごめんなさい。









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