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砂浜にしゃがんだ小さな男の子。
さんかくのお城が作られるのを目を細めながら眺めて、
私のサイダーを自分のものみたいに。
雄也「いやー…さすがに迷子センターは俺も焦った。初じゃね?」
ごろんと無造作に転がったうきわ。
「…初です。
あのね、だから迷子じゃないの。」
小さいシートの上に置かれたお弁当箱。
いつもなにかが起きないと気づかなくて、
どっちかが大人にならないとこんな会話もできなくなっちゃうそっくりな私たち。
雄也「あっちーなー…帰りコンビニでアイスでも買ってくか。」
「うん、はんぶんこしよー!
…あ、そうだ。日焼け止め塗りなおさなきゃ、」
雄也「日焼け止めー?別に言うほど入ってねーだろ。
てかずっと着てんじゃんお前。」
…これ。って。
「でもだって赤くなるの痛くてやだよー…」
いつもあとになってから、
やけどをしたみたいに赤くなって、痛くなる。
雄也「そーいやお前毎年言ってんな。
できんの?背中。」
「ううん…やって?ゆうや、」
ポーチから取り出した白い日焼け止め。
はいって彼に手渡して振り返ったとき、
雄也「…やってってなんだよ。
んーじゃあほらこっち座れ」
なぜかぎこちなく合わせてくれない視線に、
「ありがと。」
小さくお礼をしながらはにかんだ私。
彼の前にちょこんと座って、さっきの雄也みたいに小さなお城を見つめてた。
…
雄也「ちょ、髪あげてて、」
親指の爪が伝うように不器用に髪を掬う仕草。
「…ん。」
…雄也だから、こんなの慣れてるはずなのに。
雄也「は?パーカー着たまんま?」
「うん。え、だってなんか恥ずかしいじゃん。」
雄也「服んなかに手突っ込む身にもなれよー…」
体育座りな私のパーカーを雑に捲って、ひとり言みたいな言葉を。
「ゆう、くすぐった、」
雄也「おい大人しくしてろよ。てか頼む我慢して」
「…ふ、」
肩に当てられた添えられた手。
くすくす笑っちゃいそうになるのをこらえて、
「ね、仕返し。ゆうやもやってあげよっか。」
髪をかきあげながら振り返った私がいたずらっぽく笑いかけた瞬間、
「…雄也?」
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にゃん(プロフ) - かえるさん» コメントありがとうございます。雄也くんらしさって、言葉にしてしまうと冷たく感じられてしまいがちで、不器用な優しさですよね。過去編では切ないばっかりでしたが、2ではしっかりきゅんにします!笑 これからも、よろしくお願い致します。 (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - レイナさん» コメントありがとうございます。そとづらから引き続き読んでくださってるのがすごく嬉しかったです!なるべく頻繁に更新できるよう、頑張りますね。またいつでもコメントお待ちしております。2も、引き続きよろしくお願い致します! (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - コメント失礼します。とってもキュンキュンするのに、切なくて泣いてしまって。雄也くんらしいな〜と楽しく拝見させていただいています。 これからも楽しみにしてます。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 740f5ed62d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - そとづらだんしに引き続きあさやけだんしもダイスキな作品です!!にゃんさんのペースで更新頑張ってください!!どんなに時間経っても更新楽しみにしてます!!!がんばってください! (2017年4月23日 19時) (レス) id: 2b8f700843 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです。ずっと前にコメント下さっていたのに今になってしまってごめんなさい。ちょっと考えてしまうことがたくさんあったので、やっぱり頑張ろうと思えました。これからも丁寧に書いていきます。よろしくお願い致します! (2017年4月16日 19時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2016年10月24日 23時