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…
「うーわ雄也じゃん!いつ帰ってきたん?」
えーっと、
…この人で何人目だっけ。
雄也「…あぁ?」
ここのお祭りで、こうやって会ったの。
すれ違う同年代くらいのこわい人達みーんなが知り合いな雄也。
雄也「おー。久しぶりー、先週。」
あんず飴屋さんの前で声をかけてきた男の人もその1人で、
明るい髪と、何個もあるピアス。
「なんだよ先週ー?めっちゃ最近じゃん!おい、連絡来てねぇぞー」
雄也「わりー、いやまぁ色々ばたついててさ。落ち着いたらと思って。」
少しだけバツの悪そうにはにかんで、
私に目配せして、肩をもっと引き寄せた。
「ほんとまじいつの間に子供できたんだよお前。
しかもめっちゃ可愛い嫁さんじゃねーかよ…」
雄也「はは、だろ?いいっしょ。」
私の頭に優しく手を置いた彼が、こうちゃんの様子を覗き込みながらそう言う。
「…は?」
ねぇ、雄也くん。
ここ地元なんだけど。
「あ、…こんばんは、」
嘘つくの、誰よりも下手なくせに。
こんな時だけ見上げた彼は大人な顔して私を見下ろしていて、
「こんばんはー。
寝ちゃってんのかぁ。奥さんそっくりっすねー」
…ばかゆうやー。
「そうなんです。遊び疲れちゃったみたいで…
ねぇ、雄也、」
どうするの、って。
こうちゃんの背中をとんとんってしながら彼の方を向いた私。
雄也「A…コウ寝た?
ごめんまた今度ゆっくり。」
「おう、おっけー。んじゃまた」
雄也「ごめんコウ。こっち来いなー…」
せっかく久しぶりに会った友達への挨拶もそこそこに、
手で頭を押さえながら私からこうちゃんを受け取った。
目をつむったまま、首元にしがみつく仕草。
ふぇ、って泣く前の小さな声がしたあと、
航平「ややー…」
雄也「ごめん、眠かったなー…よしよし。」
「…良かったの?あんなこと言って。」
雄也「ん?あぁ。あいつ酒飲むとしょっちゅう記憶飛ばすしどうせ今のも覚えてねーよ。
ま、いーんじゃん。嫁さん。」
「…?」
ちょうど辺りに響いた笑い声と、当たりくじの鐘の音に。
聞かなかったことにしちゃおう。
冗談めいた様子も、照れ隠しの仕草もない、
今の雄也の言葉を。
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にゃん(プロフ) - かえるさん» コメントありがとうございます。雄也くんらしさって、言葉にしてしまうと冷たく感じられてしまいがちで、不器用な優しさですよね。過去編では切ないばっかりでしたが、2ではしっかりきゅんにします!笑 これからも、よろしくお願い致します。 (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - レイナさん» コメントありがとうございます。そとづらから引き続き読んでくださってるのがすごく嬉しかったです!なるべく頻繁に更新できるよう、頑張りますね。またいつでもコメントお待ちしております。2も、引き続きよろしくお願い致します! (2017年5月4日 16時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - コメント失礼します。とってもキュンキュンするのに、切なくて泣いてしまって。雄也くんらしいな〜と楽しく拝見させていただいています。 これからも楽しみにしてます。 (2017年4月23日 23時) (レス) id: 740f5ed62d (このIDを非表示/違反報告)
レイナ(プロフ) - そとづらだんしに引き続きあさやけだんしもダイスキな作品です!!にゃんさんのペースで更新頑張ってください!!どんなに時間経っても更新楽しみにしてます!!!がんばってください! (2017年4月23日 19時) (レス) id: 2b8f700843 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 美咲さん» お久しぶりです。ずっと前にコメント下さっていたのに今になってしまってごめんなさい。ちょっと考えてしまうことがたくさんあったので、やっぱり頑張ろうと思えました。これからも丁寧に書いていきます。よろしくお願い致します! (2017年4月16日 19時) (レス) id: a8bbd9eca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃん | 作成日時:2016年10月24日 23時