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使者が小さく頭を下げて帰るのを、深々と礼をして見送ったその日から。
俺は必死だった。
何がなんでも裏会を抜けると決意した。
幸い、という言葉は酷く似つかわしくないが、妻を亡くしたことで組織からの除名は思いの外すんなりと得心された。
.........これも白夜が慮ったことだったのではないか、と俯きそうになったが、ぐっと顔を上げた。
.....白夜、
俺たちの薄明は、俺が、守る。
それから「何かあれば必ず私を訪ねて下さい」と事あるごとに声をかけてくれていた、長田さんを訪ねた。
彼は電子媒体企業の社長で、ひょんな事から以前の任務で俺が助けた人物だった。
彼を頼るのは申し訳なかったが、何せ背に腹はかえられなかった。
何でもします、と頭を下げた俺に、長田さんは目を細めて言った。
「何でも、ですか。狭間さんは大恩人だ、もちろんうちで面倒見させてもらいますよ。
ただね、条件がある。うちで働くのならうちにそぐう働き方をしてもらわないとね。」
「はい、残業でも出張でも何でも.....！」
「では、参観日には必ず出席して下さい。」
「はい..........？」
思わず間の抜けた声が出た。
「あと必ず有休は消化して下さい。息子さんとの時間を第一に、あぁ、ちゃんと定時で帰って夕食を一緒に取るのも絶対ですよ。」
「お、長田さん........。」
「私はね、この会社を作るために家族を相当蔑ろにしたクチでね。
大恩人であるあなたには、絶対にそうなってほしくない。たった1人の、家族なんですから。」
「あ.......ありがとうございます...............！」
深く頭を下げて、堪えながら見つめた床は涙で滲んでいた。
それからは、社長にその恩を返すため死に物狂いで働いた。
これまで異能でしか働くことのなかった自分には苦労の連続だったが、それでもひた走った日々だった。
「.......父さん、今まで、俺を育ててくれてありがとう。ずっと見てきたんだ。苦労ばかりかけてごめん。
今度は俺が、父さんを守れるように、なるから。」
大学の合格通知を手に、2人でべそかいた数週間前が懐かしい。
ここまで、来れたのか、と肩の荷が降りるような、それが物寂しいような、そんな心持ちだった。
「ンなこたぁどうでもいいんだよ。
これからはお前と、お前の大切な人のために行けばいいんだ。お前の足で、進めばいいんだ。
俺も母さんも、それがいちばん嬉しんだからよ。」
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泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉
| 作成日時：2022年6月19日 17時
