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「........御子息は英明であられる。
これを目の当たりにすれば、主の決断の正しさが身に染みる。」
薄く痛みを堪えるような目をして彼女はそうぽつんと言った。が、すぐに意識を引き戻し再び口を開いた。
「そう、あなた様の仰る通り、我が主、悉知白夜は予知者として異能が開いてしまわれた。
それを主自身、感じ取っていたのです。
そして遅かれ早かれ、それが組織に露見してしまうことも。」
すっとこちらに使者が目を向けた。
「......主は、伴侶と共に組織を離れようかと思う、と私にだけはおこぼしになっていた。
その矢先に能力顕現を迎えてしまい、このまま離れても追手がかかると仰った。
......あの方は組織の動向をよく見抜いておられた。裏会の残った保守派の中で予知の巫女を復活させるという動きがあったのです。
これに捕まれば、巫女は拘束され、その家族は人質とされたでしょう。
........そして主が何より恐れたのは、
その予知者の能力を継ぐ存在があると、組織に知られること。
薄明様、あなた様はこれより
これが我が主の遺言のひとつにございます。」
思わず隣に顔を向けると、薄明がびくり、と肩を震わせた。
白夜の.....恐れたこと........。何となく、事の次第が胸に下りてきた。
「主は、あなた方を守るため、予知の巫女の顕現を悟られぬまま自身の存在を葬ることをご決断されました。
大きな任務に紛れ、殉死に見せると。」
そこまではっきりとした口調で淡々と語り続けた彼女が、そこで初めて言葉を切って、俯いた。小さく震えている。
「.............あの日、私は。
言付けをよろしくね、と微笑んで、妖に向かって行こうとする白夜様を..........
お引き止めしてしまったんです......
私も共に参りますと泣いたらば、ぎゅっと白い両手で私の手を握って下さった。
私にこれを握らせて、『私にはあなたしか頼める人が居ないのよ、絶対に生きて戻ってちょうだい。』と.....。
私はあの方が好きでした.....笑うとあたたかいあの方が.....。」
ぽつんと呟きながら、袖からそっと取り出した包みを手渡された。
「『これが1番大事だから』と、あの方は嬉しそうに頬を染めて笑ってらっしゃった....。」
布に包まれたそれを開くと、そこには艶やかな桜の帯留めがあった。
それを見るや、俺と薄明は一緒になって泣いた。
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泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉
| 作成日時：2022年6月19日 17時
