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そうして祝言を挙げて、しばらく経った頃だった。
2人で街を歩いていると、ふっと
じっとショーウインドウのガラスを見つめていて、足が止まったのにも気付いていない様子だ。
そこまで歩いて戻ると、じいちゃんは嬉しそうに口を開いた。
「どうした、欲しいものがあったか。」
「あっ、いえ、そういうわけじゃ......。ただ、なんて綺麗なんだろう、と。」
話しかけられてハッとした様子の白夜さんが慌ててガラスから目を逸らしたのに苦笑した。
「なんだ、俺も見てみたいじゃないか。どれだ？」
「花守さん.......。あれです、あの、2段目の.....珊瑚かしら、
淡い桜の、帯留め......。」
細く白い指が指す方に目を凝らすと、確かに見事な細工の、なんとも言い難い淡い色合いに仕上げられた桜が、つるりと鎮座していた。
白夜さんの見立ての通り、淡く色付いた桜色が、奥行きのある色合いを醸すのは珊瑚ならではの風合いだろう。
「ほう、見事だな。」
「さぁもういいでしょう、帰りましょう、お夕飯の支度が....。」
「帰ったら手伝うさ。もう少しいいだろう？
なぁ、白夜、欲しいか。」
「そんなこと、.............。」
ついと目を伏せて、いつもはハッキリとした物言いの彼女が言い淀んでいる様は愛らしかった。
「なぁ。お前は俺に嘘をつく女ではないだろう？」
確信的にじいちゃんが微笑んでその顔を覗き込むと、渋々と彼女は頷いた。
「よしっじゃぁ買おう！」
「まっ、待って下さいあなたって人はもうっ.....！
欲しいかと聞かれましたらそれはそうですが.......、珊瑚ですよそんなまとまった金額のもの買っていただくわけには.....！」
「お前は、」
ゆっくりと微笑んだじいちゃんに見つめられて、思わずといった様子で白夜さんは首を傾げた。
「祝言を挙げたというのに、仕事柄妨げになるのでと言って指輪のひとつも欲しがらない。
少しは俺に夫らしいことをさせてくれ。
.......少しは、俺のものだと主張させてくれよ、なぁ？」
花守さん、ずるいわ、と着物の袖で顔を隠してしまった白夜さんの、覗く耳が赤く染まっていて。
やっぱりこの祖父と、自分の恋人は似た者同士だったのだと内心頭を抱えた。
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泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉
| 作成日時：2022年6月19日 17時
