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辺りは宵闇に包まれていて、今日の任務の伝令役もとうに本部へと報告に向かった頃だった。
それぞれの隊も引き上げ、木立だけがしんとした夜にさらさらと色を添えていた。
それだから、じいちゃんも思わず口を開いたのかもしれない。
「あぁ、見ての通り、力をぶっ放すしか取り柄の無い根っから討伐隊さ。
弟も、裏会の中の方で食らいついてんだが、しっかりした奴でなぁ。
.....俺の、家系は代々"時"か"守"の字を名前につける風習があってな。開祖の名にあやかったとかで古い慣習さ。
ただ何だって、親父はこんな粗野な俺に、花守、だなんて名前付けたんだか、ハハ、今だに理解できやしねぇ。」
アイツの方がよっぽど、
似合いだろうに。
最後にぽつっとそう呟いたのを、その色の薄い瞳でじいっと彼女は見つめていた。
星々だけの淡い光に照らされたその顔は仄白く浮かび上がっていて。それよりも尚一層、その吸い込まれそうな瞳は光を載せて、見つめていた。
やがて彼女は口を開いた。
「花守、さんは、」
ぴくっと肩を揺らして、じいちゃんは驚いたようにして隣へ視線をやった。
「お気付きでないのです。
貴方が如何に、美しいのか。」
ふわっ、と、
笑った。
それに驚いて、じいちゃんは口が開いたまま彼女を凝視した。
それに構う様子もなくさらさらと彼女は言葉を紡ぐ。口元に笑みをのせて。ひどく嬉しそうな目元で。
「貴方は、とてもやわらかい。
任務の時だってそうです。貴方の軸にあるのはいつも、"人を守ること"。そして自分が先陣を切って人々をその背に隠す。
それだから誰しもあなたの背中に、安心するのだし、振り返った貴方の笑顔が、人を笑顔にするのです。
花の命のように烟る強さと優しさ。
それを以て誰かを守る気高さ。
お父様は素敵な名を貴方に贈られたのですね。」
「俺の、ことをそんな風に言うヤツは初めてだよ....。」
じいちゃんが小声で呻いた。その声はくぐもっていた。
「......泣いておられるの？
.....隠さないで。」
そう言って顔を伏せたじいちゃんの腕にそっと触れた手は、あたたかかった。
じいちゃんはぐしゃりと崩れた顔を上げて笑った。
「貴女には敵わない。
悉知さん、俺と結婚してはくれんか。」
「あら、それなら
呼んで下さいな。」
じいちゃんの突然のプロポーズに、白夜さんは鈴を転がす様に笑った。
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泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉
| 作成日時：2022年6月19日 17時
