YELLOW FLOWER

． ページ27

彼女からそんな言葉が出ると思っていなくて、


すごく間抜けな声が出てしまった




「あっ、ごめん、嫌だよね…」


『いや、そうじゃない。嫌じゃない』




捲し立てるように言い、慌てて訂正した






『めっちゃ可愛い我儘だなと思って』






何も考えずに口に出した




「…………………っ！？」


『え？………あっ、やべ』




慌てすぎて、本音が出てしまった


彼女の顔は今にも爆発しそうな程真っ赤


…めちゃめちゃ恥ずい


自分でも顔が熱くなるのが分かる


その顔を見られたくなくて、彼女に背を向けた




「いっ岩本くん…」


『…何』




恥ずかしさを隠すために素っ気なく答える




「……えっと、ありがとう」


『………ん』




そう答えると、背中に温もりを感じた


…Aが俺に引っ付いていた





彼女にも、多分頼る人がいないからかもしれない


教室で少し様子を見ていても何となく分かっていた


他のクラスの女子からの呼び出しがあり、


その後は大抵俯いていた


何かを脅されているのだろう




『…雪島さん』


「………はい」




俺に引っ付いたまま、彼女が小さく呟く




『もし、良かったらなんだけど…

話したくなかったら話さなくてもいい。ゆっくりでいい。

雪島さんのタイミングでいい。だから…』




俺はAの方に向き直り、しっかりと目を見た


彼女の目は、何かに脅えているように見えた


…相当辛かったみたいだ


またこの前の後悔が蘇る




『…何かされたなら、話して欲しい』


「っ………何も、されてない」


『嘘はつかない。……約束』




Aが全ての責任を負う必要は無い


…誘ったのは俺だ 行動に移したのも俺


非があるとすれば、俺にあるんだ




「…わかった。じゃあ、私からも約束」


『…ん』


「岩本くんはしないと思うけど…暴力はしないで」


『っ………』




その言葉を聞いた瞬間、ドキリと胸が鳴った


もしも…Aに何かあったら、


そいつの元に殴り込んでやろうと思っていたから


彼女を傷つける奴は、俺がどうなってもいいから


容赦なく排除しようと思っていた


…今の俺が、あの人と同じことをしようとしてる事は


分かっている


でも…絶対にこの約束は、Aとの約束は守ると今、


胸に決めた




『……分かった』


「うん……ありがとう」




少しの間の後、彼女は話し始めた

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