【銀魂】志村家長女が、真選組局長と結ばれまして。【近藤勲】

携帯 ページ33

〜近藤side〜


「近藤さん、こんにちは。」

「いつもありがとうございます、Aさん！」


あれからAさんは、毎日面会に来てくれている。
傷の治りが遅く、暫く退院出来そうにない俺を心配してくれているのだ。
本当に、健気で素敵な人だと改めて感じた。

それから彼女から、"止涙病"になっていた事を聞いた。最近出て来た病気らしい。まだ泣き跡が残っていた。
そんな時に側に居られなかった自分に腹が立ったが、俺に会った時に治ったと聞いて、凄く嬉しかった。


「本当に無事で良かったです。」

「来る度にそれ言ってますね。」


笑いながら言う俺に、俺にはとても形容し難い表情を浮かべ、だって、と続けた。


「大切な人を失うって、辛い事じゃないですか…」


そう俯いて言い放った彼女を、無性に抱き締めたくなった。
今の彼女の感情は、俺でも理解出来た。

こんな時に怪我、終いには入院するなんて、いつまで経っても大馬鹿野郎だ…
それでも構わない。怪我が悪化しようがどうでもいい。そう思い彼女に手を伸ばした。

その時、携帯が鳴った。
タイミング悪いな！！

総悟からのメールだった。
今日は見舞いに行けないとの事だった。

はあ、と溜め息を吐き携帯を閉じた。
それと同時に、横目に彼女を見た。
そこには先程までの泣きそうな彼女は居らず、久々に見た赤面した彼女がそこに居た。

俺は今、携帯を見てただけの筈だけど…
えっ、もしかして俺？！

そんな変な考えが頭を横切った時、彼女がゆっくりと口を開いて言った。


「そ、それ、付けてくれてたんですね…」


それ？
もう一度携帯に目線を戻して、漸く分かった。
それを見た瞬間、顔が熱くなっていくのが分かった。


「あ、ああ、はい…嬉しくて、つい…」


思わず口が滑ってしまい、お互い顔を下に向けた。

あの時、自室に置いておこうか迷った。
彼女が俺の為に選んでくれた物だから、死ぬまで大切にしたいと思った。
だけど、だからこそ肌身離さず持つべきだとも思った。

そこで、滅多に使う事は無いが、肌身離さず持っている携帯に付ける事にした。
キーホルダーを付けた携帯を眺めている俺が相当緩んでいたらしく、トシ達から気持ち悪がられた。

彼女に見られる事は無いと踏んでこれにしたのに、それを思い切り見られてしまった。

そんな彼女がゆっくり顔を上げ、懐を探り出した。
慌てている彼女を見ながら、俺も顔を上げる。

そこで彼女が出したのは、キーホルダーが付いた携帯だった。

時は違えど重なる面影→←貴方の言葉は魔法の様

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