＊それぞれのプライド ページ39
＊
『......』
二人きりになり、あたし達は目を合わせる。
お互いの顔を見合わせたままどちらからも口を開くことはない。
言いたいことは沢山あるのに、何故だか出てこない。
それが何だかおかしくて、同時に吹き出した。
「ふふっ、色々。あったね。」
フィ「はーっ。.......そうだね。」
二人で、空港の窓から見える青い空を見上げた。
この島に来てからの事が順番に蘇ってくる。
.
「.....君は.......！」
「あなたはっ、！！」
「優しくて、強い人だ。」
「絶対負けない！！」
「無事でよかった。」
「好きだ.....」
.
どんな辛いことでもフィディオがいたから乗り越えられて、嬉しいこと、楽しいことはフィディオがいたからもっと楽しかった。
フィディオ・アルデナ。
強くて優しくてかっこいい、あたしの大好きな人。
大好きなのに、まだ一緒にいたいのに、
「日本への便はこの後......」
もうお別れだ。
空港に響くアナウンスが、もうお別れだと告げる。
まっすぐ彼を見れば「好きだ。」と言われあたしは微笑む。
そして抱きしめられて胸の中でそっと目を閉じた。
「あたしも......大好き。」
ガルシルドと戦って倒れた時、告えなかった言葉の続き。
＊
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作者名：鈴神 | 作成日時：2020年6月11日 9時
