＊やっと会えた ページ16
＊
「あったかい......」
フィディオの腕の中で意識を失ったあと、我に返ったのは真っ白で温かな空間。また、無意識の世界だ。
何回生死をさ迷うんだあたしはと軽くツッコミながらも、ゆっくりと歩く。
そういえば、ガルシルドとの戦いは終わったんだったな。それで、仲間が迎え入れてくれて......。
「フィディオの腕の中、暖かかったな......」
フィディオに会いたい。
俯いて、足元に広がる白い床をじっと見ていると
前に人の気配がして顔を上げる。そしてそこに立っている人達に思わず息を呑んだ。
優しげに笑う、男の人と女の人。
なんで......
「パパっ、ママっ、！！」
思わず走り出し、二人に飛び込んで抱きついた。
その感触はちゃんとあって、ずっと逢いたかった二人に会えた嬉しさで視界がぼやける。
「逢いたかったっ、！」
二人は、何も言わずに抱きしめてくれた。
「あたしねっ、とっても素敵な人に出会えたの。大好きな人なの。それで、大切な仲間もできて、それでねっ、」
にこにこして黙って話を聞いてくれる。
そして、しばらくそうして二人に会えた幸せを噛み締めていると、ふと我に返った。
「っ、あたし、皆の所にいかなきゃ、......！」
そうだ、あたしにはまだやるべき事がある。
仲間と一緒に、世界一になるんだ。
「.......」
しばらく抱き合ったあと、名残惜しくもゆっくり二人から離れる。二人は、すべてを分かっているようだった。
「.......パパ、ママ、あたし行ってくる。世界一に、なってくる！！」
突然、周りが光り輝き意識が遠のく。
でもそれは、決して嫌な感じではなく温かな＿
"幸せになりなさい、A"
"ずっと見てるよ"
「ありがとう......パパ、ママ。大好き、」
目を覚ますと、興奮気味の実況者の声と、白い天井が目に映った。
＊
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作者名：鈴神 | 作成日時：2020年6月11日 9時
